豊橋市議の長坂です。
豊川市議ではありません。

さて、先日記したフェニックスの債務超過や株式に関し、
豊橋新アリーナのフェニックスリスク、4年前から解消しない(どころか悪化?)
http://nagasakanaoto.blog.jp/230703.html 
"川"市議会(3月定例会)会議録が公開され、詳細がわかりました。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/toyokawa/ 
(末尾に、気になる箇所を強調し、該当箇所を抜粋します。)

特に目を引いた豊川市の発言(答弁)は、次の3つです。
先日、筆頭株主であるオーエスジー株式会社より、株式会社フェニックス株式についてのお話がありました。内容は、近年、株式会社フェニックスの業績が芳しくなく、今期の決算においても債務超過を免れない状況にあるとのことでございます。
株式会社フェニックスからオーエスジー株式会社に対し、財政支援の依頼がなされ、オーエスジー株式会社としても、株式会社フェニックスの経営の合理化及び株主構成の見直しを含めた増資等による財政支援以外の方法は難しいと判断
令和4年度の配当率は、所有株価1,200万円の8%、96万円分の株主配当を受けております(略)教室、交流会合わせて6校で開催しております。開催1回につき15万円かかることから、教室及び交流会の開催により90万円分の配当を受けております。さらに、教室交流会開催の特典として、250人分、45万円相当の無料観戦チケットの配布を受け、そのほかに94人分、約17万円相当の無料観戦チケットの配布を受け、令和4年度の配当の合計といたしましては、株主配当96万円を超える約107万円相当の配当を受けたものでございます。
1つめ2つめは、先のブログに概ね記し、それがより強化されるものと思われます。

新たに気になったのは3つめ「株主配当」の話です。



気になるポイントは3つあり、
  1. 金銭でなく、バスケ教室や無料券を「配当」としていいのか。
  2. 豊川市にこれまで配当があったとしたら、他(優先株の)株主にも同等の配当があったのか
  3. Bリーグ公開の「クラブ決算概要」では「配当」に該当するような数字の動きが見られないが、本当に「配当」と言えるものなのか。
1.は「現物配当」というものがあるようですが「基本的には株式を配当」とのことです。
現物配当(現物分配)とは、企業が配当をする際に、現金ではなく物で配当をすることを言います。物であれば基本的にどんなものでも現物分配となるのですが、基本的には株式を配当することを現物分配ということがほとんどです。

 - 現物配当とは?現物配当の有効活用方法は?公認会計士が解説します! | HUPRO MAGAZINE
https://hupro-job.com/articles/1762 

2.は「株主平等の原則」と言われるものがあり、会社法第109条に「(株主の平等)第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」として定められています。他方、例外もあるようです。
A:結論から言いますと、創業者の所有株式のみ配当金を増やす方法はあります。 これは定款に株主ごとに異なる定めをすることにより実現することが出来ます

 - 137.株主ごとに違った剰余金の配当額を決める定款の定め|司法書士大竹弘幸事務所
http://6h-seturitu.jp/01/137.html
属人的株式(株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定款の定め)とは|代表司法書士 石川宗徳の所長ブログ&コラム
https://shiodome.co.jp/js/blog/664

3.は、過去5年ほどのクラブ決算概要(下記URL)を見ると、貸借対照(のような)表「利益剰余金等」の増減(各年の差)が、各年の損益計算書(のような表)「当期純利益(▲損失)」と一致するため、株主配当を含めた他の「剰余金の処分」はないように見えます・・・。
https://www.bleague.jp/about/management/ 

以上のことから、フェニックスからのバスケ教室や無料券を、豊川市が「株主配当」と市議会答弁して適当なのか、大いに疑問があります。

企業会計にお詳しい方のご意見も是非お伺いしたく。

では。

(以下、会議録より抜粋(URL再掲))
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/toyokawa/ 
◆中村直巳議員
 補正予算説明書12ページ、19款2項3目有価証券等売払収入について伺います。
 初めに、今回売り払う有価証券は、平成21年に出資した株式会社フェニックスの優先株式100株と聞いております。出資することになった経緯、出資する効果について伺います。
◎教育部長
 平成20年6月に現在の三遠ネオフェニックスの前身であるプロバスケットボールクラブ、浜松・東三河フェニックスの運営会社である株式会社フェニックスコミュニケーションが設立され、行政、企業、地域住民が一体となった応援の機運が高まる中、同年9月頃、運営会社から本市に出資等の依頼ありました。

 ホームタウンにおける社会活動の貢献など、運営会社の企業理念に共感し、地元企業が支え、行政もその一端を担うという形で支援し、子供たちにスポーツの意義を持たせていくようなスポーツ振興の普及の意味もあり、平成21年6月に株式会社フェニックスの優先株式、1株当たり12万円を100株、総額1,200万円を出資したものでございます。

 なお、この財源としては、平成20年にオーエスジー株式会社より教育・文化・スポーツの振興を意向とした寄附を2,000万円受けており、その一部を充てたものとなります。

 また、出資による効果ですが、株主配当として、平成22年度以降、市内小中学校を対象とした1回当たり15万円相当のバスケットボール教室及び交流会の年6回の開催や、試合観戦チケットの無料配布といった形で受け、これを有効活用することにより、第2期スポーツ振興計画で定めた基本目標の1つでもある、「スポーツに親しむ機会の創出」として、「見るスポーツ」、さらには地域に密着した「支えるスポーツ」の振興、こういった効果につながっているものと考えています。

◆中村直巳議員
 出資したことにより、これまで市内小中学生へのバスケットボール教室の開催や無料招待の提供を受けるなど、プロ選手との触れ合い、子供たちに夢と感動を与え、さらには、スポーツの盛んなまちづくりにも貢献されている中、今回、株式を売却することになったその理由について伺います。
◎教育部長
 先日、筆頭株主であるオーエスジー株式会社より、株式会社フェニックス株式についてのお話がありました。

 内容は、近年、株式会社フェニックスの業績が芳しくなく今期の決算においても債務超過を免れない状況にあるとのことでございます。現に、直近の純利益は約1億3,000万円の赤字となっております。

 こうした状況により、株式会社フェニックスからオーエスジー株式会社に対し、財政支援の依頼がなされ、オーエスジー株式会社としても、株式会社フェニックスの経営の合理化及び株主構成の見直しを含めた増資等による財政支援以外の方法は難しいと判断した結果、同社の取締役会を経て、今回、豊川市が保有する株式を同社に譲渡することについて要請がなされております。

 本市といたしましても、これまで共に歩んできました地域に密着したプロバスケットボールチーム、三遠ネオフェニックスによる地域貢献・社会貢献に共感し、本市スポーツ振興の一助として、これからもスポーツを愛する人々や子供たちに夢と感動を与え、市民に愛されるチームとして存続し、加えて、2026新B1への入会には経営の立て直しが重要課題であることから、今回、オーエスジー株式会社からの要請に全面的に協力すべきであると判断し、株式を売却することとしたものでございます。

 なお、これまで配当分として受けておりましたバスケットボール教室の開催などにつきましては、株式売却後も、令和5年度にあってはこれまでどおり市内小中学校を対象に6回開催することとし、令和6年度以降については、今後の経費上昇を見据えながら、回数については今後協議していきたいとの申し出がございました。

 また、無料招待チケットにつきましては、令和5年度は無料招待チケットをこれまでの約400名分から800名分に増やし、当面続けていきたいとの申出を受けております。

◆中村直巳議員
 株式を売却する理由は理解しました。
 では最後に、今回の株式譲渡における売却額は妥当なのか、取得価格と売却価格の比較を踏まえて市の認識を伺います。
◎総務部長
 先ほど、教育部長から答弁がありましたとおり、先月、本市が保有する株式会社フェニックス優先株式100株について、オーエスジー株式会社から株式譲渡の要請がありました。

 要請の内容を精査したところ、売却に際しての1株当たり8,414円になりますけれども、こちらの価格については国税庁の法人税の基本通達に基づき、株式会社フェニックスの令和3年5月期末時点の法人税確定申告書に附随する決算報告書の数値を基に、純資産価格方式により適正に価格が算出されており妥当であると確認ができたものでございます。

 一方、平成21年度に取得した株式会社フェニックス株の価格は、1株12万円、総額1,200万円であり、今回の売却総額84万1,400円に対する売却損は1,115万8,600円となります。

 しかし、株式取得後の配当として平成22年から令和4年の間に総額1,296万円相当となるバスケットボール教室の開催と無料観戦チケットを受領しており、これらを市民に還元していることや、地域を拠点としたプロスポーツの支援を通じ、スポーツ振興や市民の交流を深め、地域の活性化につながっていることなどを踏まえると、今回の売却は、この地域におけるプロスポーツ存続のための意義ある株式譲渡であると判断し、やむを得ないものと認識しております。

◆佐藤郁恵議員
 一般会計補正予算(第9号)につきまして若干質疑をさせていただきます。
(略)
 2点目といたしまして、12ページの19款2項3目歳入になりますが、有価証券等売払収入について、お伺いいたします。

 中村直巳議員への御答弁で、この経緯や売却理由の概略は分かりました。私からは、1つ目といたしまして、1,115万9,000円の売却損があるということなのですが、現在までに1,296万円相当の教室開催や無料チケットによる配当を受けているとの御説明がありました。

 配当の内容について、もう少し詳しく、お伺いいたします。年間に平均いたしますと、90万円台になると思いますが、令和4年度の実績でどのような配当があったのか、お伺いいたします。

 2点目といたしまして、今後の考え方ですが、地元や東三河のプロスポーツチームができ、また自治体からの出資の話が出た場合、売却損が出る可能性など考えますと、慎重であるべきと思いますが、今後の御認識について伺います。
◎教育部長
(略)
 続きまして、(2)有価証券等売却収入についてでございますが、1点目の質問、令和4年度の出資による配当の内容でございますが、令和4年度の配当率は、所有株価1,200万円の8%、96万円分の株主配当を受けております。

 その内容は、バスケットボール教室が桜町小学校、一宮中学校、東部中学校、それから御津中学校、音羽中学校及び中部中学校3校合同により、御津中学校において開催したもの、合わせて4箇所で開催され、また、バスケットボール交流会につきましては、豊川小学校と御津南部小学校の2校で開催され、教室、交流会合わせて6校で開催しております。開催1回につき15万円かかることから、教室及び交流会の開催により90万円分の配当を受けております。

 さらに、教室交流会開催の特典として、250人分、45万円相当の無料観戦チケットの配布を受け、そのほかに94人分、約17万円相当の無料観戦チケットの配布を受け、令和4年度の配当の合計といたしましては、株主配当96万円を超える約107万円相当の配当を受けたものでございます。なお、無料観戦チケットは小中学生を対象に現在、市内各体育施設にて配布中でございます。

 次に2点目の、新たなプロスポーツチームが地元から生まれた場合、同じように出資、株を取得等をするのかという御質問でございますが、三遠ネオフェニックスの前進である浜松・東三河フェニックスは、当時、行政・企業・地域住民が一体となった応援の気運が高まる中、地域密着、市民の豊かなスポーツライフの提案、さらには、ホームタウンにおける社会活動への貢献の企業理念に共感し、地元企業が支え、行政もその一端を担う形の支援として出資したものであって、今後、地元から新たにプロスポーツチームが生まれたからといって、必ずしも出資するとは限りません
◆佐藤郁恵議員
(略)
 次の、フェニックスの有価証券の配当につきましては、令和4年度、様々な教室や無料チケットの配布という形で実施されたことは分かりました。バスケット部など練習に励む子供たちにとって貴重な体験が提供されたことは意義のあることであったと思います。

 平成20年度、フェニックスの出身母体であったオーエスジーから2,000万円の寄附が本市にあり、今回の売却損はその寄附と教室等の配当で、実際にはかなり相殺されていると考えられます。

 しかしながら、売却損が出たことは重く受け止める必要があると思います。今後につきまして、プロチームへの出資は慎重に検討されることを求めまして質問は終わります。
(抜粋おわり)