豊橋市議の長坂です。
教育長に期待したいです。

さて、北海道の悲惨な事件が、いじめの「重大事態」とされていなかったことが、
ニュースになっていました。

ちょうど3月に市議会で、いじめの「重大事態」に関する質問をしました。
そこで驚いたのが、不登校の数に比べての「重大事態」の少なさです。

豊橋市立の小中では年550~700の不登校(年30日以上の欠席)に対し、
「重大事態」の報告数は平成29年度からの約5年間で「2件」ということでした。
◎山西正泰教育長
(略)続きまして、(3)のイ、平成29年度以降の豊橋市立学校における不登校の数についてでございます。
 文部科学省は年間累積30日以上の欠席がある児童生徒を不登校児童生徒と定義をしております。平成29年度は小学校で約150人、中学校で約400人となっておりました。その後、徐々に増加しており、令和2年度は小学校で約200人、中学校で約500人となっております。

 続きまして、(3)のウ、「豊橋市いじめ防止基本方針(平成29年4月1日)」第4章に記載ある「重大事態」の教育委員会への報告件数についてでございます。
 平成29年度以降、重大事態の報告数は2件ございました。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/toyohashi/ 


そもそも、いじめの「重大事態」とは何か。
法律(いじめ防止対策推進法)で、次のように定義されています。
第五章 重大事態への対処

(学校の設置者又はその設置する学校による対処)
第二十八条 学校の設置者又はその設置する学校は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置する学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする。

一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。

2 学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供するものとする。

3 第一項の規定により学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行うものとする。
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC1000000071_20200401_501AC0000000011 
「心身又は財産に重大な被害」や「相当の期間学校を欠席(≒不登校)」が、いじめにより生じたという「疑い」があると認めるとき、が重大事態です。

個人的にはここに「疑い」の2文字まで含まれていることは、法律をつくった方が、よくがんばられたと思われます。

つまり豊橋市では、年550~700の不登校がありながら、最大でも5年で2件(年平均0.4件)しか、その不登校がいじめによる(「疑い」含む)と判断されなかったわけです。

いくらなんでも少な過ぎませんでしょうか?



これは、豊橋市だけでありません。

文科省の全国まとめでは、令和2年度において
  • 小中学校の不登校児童生徒数:196,127人
  • いじめの重大事態件数:514件(うち小中:430件)
となっています。

更に、不登校の要因については、次のようにまとめられており、
「いじめ」は僅か0.3%です。
220429_20201015-mext_jidou02-100002753_01_018
https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf 

他方、いじめの認知件数は、小中では501,774件です。

つまり、50万件のいじめが認知され、不登校も20万近くあるにも関わらず、
このうち「疑い」も含め因果関係があるとされるのが、僅か430件ということです。

実際は、430件には「心身又は財産に重大な被害」の事案も含まれるため、
「相当の期間学校を欠席(≒不登校)」は、298件です。

あまりに少な過ぎませんか?
50万や20万とは3桁違います。



豊橋市では、先の3月市議会にて、教育長が、
今後は、いじめがきっかけと疑われ、30日以上の欠席を余儀なくされている児童生徒がいる場合については、いじめによる重大事態として必ず豊橋市教育委員会へ報告をするよう、校長会議を通して改めて周知してまいります。
と答弁くださったのて、年550~700件の不登校を前提とすると、
重大事態が100件程度か、少なくとも2桁にはなり、全ての事案において適切に調査され、
「豊橋市いじめ防止基本方針」に記載のように、スクールカウンセラーや臨床心理士、
弁護士も含めた専門家と連携した然るべき対応がされることを望みます。

また、文科省のガイドライン(p6)では、
「被害児童生徒や保護者から、「いじめにより重大な被害が生じた」という申立てがあったとき」は、
「重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たること。」
とされていますので、関心あられる方は、ご承知おきくださいませ。
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/06/26/1400030_009.pdf

では。

(ご参考)
豊橋市いじめ防止基本方針
https://www.city.toyohashi.lg.jp/31916.htm