豊橋市議の長坂です。
言葉「不要不急」の使い方が難しいです。

さて、新アリーナ(多目的屋内施設)に関する基礎調査の委託業務の公募が始まりました。
金額は880万円です。
「多目的屋内施設の基本計画策定に向けた基礎調査委託業務」に係る公募型プロポーザルの実施について|豊橋市
https://www.city.toyohashi.lg.jp/42010.htm 
新アリーナの検討については、3月の市議会(予算特別委員会)でも、新型コロナウイルスの影響を踏まえて、以下3つの理由から「より慎重な」検討が求められることを、発言しました。
  1. 今後の財政見通しの不透明さ
  2. Bリーグを含む、今後の屋内イベント・ビジネスのあり方や変容(今様に言えば「3密」の避け方)
  3. 「防災」のあり方の変容(「防災」に感染症対策も含まれていくのか、避難所における「3密」の避け方など)
このとき、既にBリーグの一部試合は中止(再開の検討含み)が決定されており、その後、残り試合全ての中止が決定されました。
https://www.asahi.com/articles/ASN3W4GHYN3WUTQP00V.html

また東京五輪についても、ちょうどこの日(3月24日)に延期が決定されました。
その後の緊急事態宣言や、それに伴う自粛要請などの経緯については、みなさまご存知の通りです。



新アリーナ調査に関して、公表された資料を見ても、新型コロナウイルスに関連する記述は、この1箇所しか見つけられませんでした。
プレゼンテーション及びヒアリングを予定しているが、新型コロナウイルスの影響による今後の社会情勢次第で特定の場所への参集は行わない場合がある。詳細については後日、別途通知する。(実施要領p5より)
今後の不透明な社会や生活のあり方、より優先的にお金を使う必要が多々出てきたことを考えると、この調査に関しては、どうしても今年度の調査しないといけない不要不急ではない事業なのか、疑問を感じます。

また、調査を受託する会社からしても、今後の屋内イベントのあり方が不透明な現在において、責任ある調査を引き受けるのは、リスクが多いように思われます。
同じ席数(例えば5000席)を前提としても、密集・密接を避けるために、必要な面積は何倍にもなるかもしれません。また、換気などの密閉対策についても、これまでの屋内施設のやり方のままでよいのか。
この大きな大きな社会のあり方の変化を踏まえると、現時点においてこの調査を880万円で実施することの妥当性も気になるところです。



また、昨年後半くらいから急に強調され始めた「防災拠点」として機能。
多くの人が否定しがたい「防災」を持ち出して来たことからも、様々なことが推察されます。

しかし「防災」の概念もこれから大きく変わっていくのでは、と思われます。
主として自然災害への対応であった防災について、今後、感染症なども「自然災害」のいち形態と捉えられるようになるのか、「防災」には感染症対策などの「防疫」も含まれていくことになるのか。
少なくとも、今、豊橋市役所では「 "防災" 危機管理課」が、マスクなどの物資の管理を担当しています。



豊橋市では、厳しい財政状況から、新美術博物館が総合計画の改定により棚上げになった過去があります。下記は、当時の教育部長による文です。
前期計画期間(※長坂注:第4次基本計画の前期計画(H13-17))の終了に伴い、社会情勢の変化や新たな市民ニーズに対応しながらまちづくりを進めていくため計画の見直しを行い、平成18年2月に「後期基本計画」がまとめられました。

当初の基本計画には「美術博物館の整備」をはじめ(略)様々な主要施設の整備が盛り込まれていましたが、厳しい財政状況のもと、重要性や緊急性、市民生活への密着度、地域経済活動の活性化、又これまでの当該事業の進捗状況など総合的な判断のもとに見直しがされ、美術博物館の整備については「次期計画で検討(※長坂注:第5次の計画)」という結果になったものです。

(PDF p5より)http://www.museum-toyohashi.jp/fuhaku/image/sample/v67.pdf 
そこから約15年、第5次の計画も今年度が最終年度ですが、未だに新美術博物館については、棚上げされたままです。そして、今、第6次の計画が策定されています。

第6次の計画は、リーマンショックをも越える「世界恐慌以来」という厳しい財政見通しからすれば、不要不急を控え、更に、「新しい生活様式」に対応するため、事業の厳選がよりされるものと思われます。



最後に、新アリーナ調査の公募のため、公表された資料の中で、主要な部分を抜粋します。
質問書についても公開されています。検討されている事業者の方、ぜひ事前に、
  • 新型コロナウイルスによる社会状況の変化をどのように(どれほど)踏まえるのか
  • 屋内イベントにおける3密への回避をどれほど想定するのか
  • 「防災」については、感染症も踏まえていくのか
など聞いていただければと存じます。

尚、審査委員については公表されていません。

では!

仕様書(p3-5)より
第2章  多目的屋内施設の基本計画策定に向けた基礎調査委託業務内容

第1節  多目的屋内施設の基本計画策定に向けた基礎調査報告書の作成
 多目的屋内施設の検討にあたり、以下の前提条件の整理・分析、基本コンセプト、施設規模・機能、豊橋公園の整備内容・範囲、周辺交通環境への影響分析、意向調査、整備の方向性について、必要な事項の検討を行うこと。

1.前提条件の整理・分析
(1)関連計画・調査結果の把握
 豊橋のまちづくりを背景とした新アリーナを核としたまちづくり基本計画等の関連計画、スポーツ施設のあり方調査結果を把握する。

(2)防災面での活用について
 豊橋市地域防災計画における計画敷地の位置づけを把握する。また、豊橋公園内の各スポーツ施設の災害対応時の役割などを整理し、防災面における想定する多目的屋内施設の期待される役割について分析する。

(3)関連施設の利用状況などの実態把握
 総合体育館、地区体育館、豊橋公園内の武道館などのスポーツ施設、その他の関連施設の利用状況等を把握する。

(4)豊橋公園敷地及び周辺地域の現状把握
 法的な規制状況の把握、整理に係る資料調査及び現地調査をするとともに、既存敷地周辺の状況を把握する。(インフラの整備・道路交通状況を含む)

(5)今後の施策・調査等の動向
 令和2年度策定予定の第6次豊橋市総合計画、豊橋市公共施設総合管理方針(個別計画)、Bリーグライセンスの施設基準などの動向を把握する。


2.基本コンセプトの検討
 多目的屋内施設の検討にあたり、次に掲げる視点から基本コンセプトを検討すること。
(1)スポーツを「する」・「観る」・「支える」環境の整備
(2)地域経済の活性化とまちなかのにぎわい創出
(3)魅力ある都市公園及び防災拠点としての整備
(4)公共施設の適正規模・適正配置
(5)民間の持つ資金やノウハウの活用
(6)その他、受託者の提案による。

3.施設規模・機能の検討
(1)多目的屋内施設のフロアサイズの検討
 現在及び将来の市民ニーズを踏まえ、本市にとって適正なフロアサイズ、観客席数を検討する。

(2)機能集約化の検討
 機能を集約化する対象となる施設を検討する上で、対象施設の現状の利用圏域を考慮して選定するものとし、集約化した場合の効果を検討する。なお、集約化の検討を行う対象施設は武道館などのスポーツ施設やメインアリーナの多目的利用を踏まえたものとする。

(3)想定施設規模・機能の検討及び概算工事費の算出
 (ア)本計画において必要となる機能・諸室の抽出を行う。
 (イ)必要諸室の利用内容を想定し、必要規模の概略設定を行う。
 (ウ)(3)(ア)、(イ)をもとに階構成を含めた機能図を示す。
 (エ)想定する施設規模・機能から概算工事費を算出する。

(4)Bリーグライセンスの施設基準及び民間資金活用について
 (3)で求めた想定する施設規模・機能とBリーグライセンスの施設基準を比較・整理を行い、不足する機能、それに伴う施設整備費用、民間資金の活用の手法について検討を行う。

4.豊橋公園の整備内容・範囲の検討
 前提条件、想定施設の規模・機能の検討結果を踏まえて、豊橋公園における施設整備内容・事業範囲の方針を検討する。また、想定とする多目的屋内施設の位置も含めた豊橋公園内の整備内容を示した概略図(配置図)を示す。


5.周辺交通環境への影響分析
 想定する規模・機能の多目的屋内施設を整備した場合に、想定されるイベント時における来訪者の経路・手段を踏まえた周辺道路(交差点)の交通量の変化を予測し、敷地の出入口や駐車場等の設計条件の立案に必要な交通量調査を行い、その結果に対する分析を行う。(交差点の位置、数は協議によるものとする。)

 また交通量調査の分析結果より、イベント時、平常時、及び災害時における課題の抽出、整理を行い、対応策の提案を行う。ただし、駐車場整備の考え方については、「新アリーナを核としたまちづくり基本計画」に従い実施する。

6.意向調査
(1)アンケート調査
 想定される利用者へアンケート調査を行い、利用者の要望確認や問題点の把握を行い、結果の集計・整理を行う。

(2)パブリックコメント
 「本計画の検討」に対する要望になどについて、広く意見を募集し、結果の集計・整理を行う。

7.整備の方向性の検討
 アンケート調査や関係者ヒアリングなどの結果を踏まえて、本施設及び豊橋公園の目指すべき整備の方向性を検討する。

(PDF) https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/75414/☆仕様書(修正版).pdf

審査項目及び評価基準(p1)より
*テーマに対する技術提案について、下記の観点にて評価

テーマ1: 前提条件を整理し、課題を抽出するための考え方、整理手法及び分析方法に関する記載[15点]
  • 前提条件を整理及び分析する上での考え方や検討手順・内容について、具体的な記載があり、妥当性があるか。

テーマ2: 多目的屋内施設の規模・機能を決定する上で、前提条件との関連付けの考え方、広域避難場所である豊橋公園における防災・災害対応など防災面への活用の視点、検討手順・内容や集約化効果の評価方法に関する記載[25点]
  • 規模・機能を決定する上で、前提条件との関連付けの考え方は適切であるか。また、防災面への活用の視点からの規模・機能の決定の考え方について、具体的な記載があり、妥当性があるか。
  • 適正なフロアサイズ・観客数の検討手順・内容について、具体的な記載があり、妥当性があるか。
  • 機能集約化について、検討内容は妥当な内容となっているか。また、集約化効果の評価方法は適切であり、具体的な記載があるか。

テーマ3: 周辺交通環境への影響分析手法・調査方法及び分析結果に対する課題の抽出法に関する記載[15点]
  • 分析手法・調査方法及び分析結果に対する課題の抽出法について、具体的な記載があり、妥当性があるか。

テーマ4: 市民意見の効果的な集約方法及び反映方法に関する記載[15点]
  • 市民意見の集約方法及び反映方法について、具体的な記載があり、効果的な提案か。

上記1~4は下記の観点にて評価
① 業務内容の理解度
② 提案内容の的確性
③ 提案内容の先進性や独創性 

(PDF) https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/75414/★審査項目及び評価基準.pdf