豊橋市議の長坂です。
水の流れと言えば、高低差です。

さて、豊橋市の施設が、国登録の有形文化財に登録される見込みです。
豊橋市上水道施設の5カ所 国登録有形文化財に
http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/3245

 国の文化審議会は20日、下条取水場旧ポンプ室など豊橋市上水道施設の5カ所を国登録有形文化財に指定するよう文部科学大臣に答申した。市内の登録文化財は9件目(略)

 上水道施設5カ所は市営として最初の水道施設で、同ポンプ室のほか、大江川水道橋小鷹野浄水場緩速ろ過池小鷹野浄水場旧ポンプ室多米配水場旧配水池

 1928(昭和3)年から29年にかけて建設された施設で、一部は90年が経過した今も使われている。取水、送水、浄水、配水の上水道システムの基本的な構成を残すとともに、同市の上水道史としての歴史的景観を構成する。
寺社仏閣やお城などでなく、日常生活の「縁の下」的な生活施設が、文化財登録へと進むのは、ぼくの大好きなブラタモリ効果でないかと、嬉しくもあります。



記事中に「市内の登録文化財は9件目」とあります。
先の8件についても、資料を取り寄せたので、ご紹介します。
ぜひ夏休みの自由研究にも!

まず、文化庁の資料(下記URLのPDF)より、
http://www.bunka.go.jp/.../pamphlet_ja_06_ver02.pdf
登録有形文化財」の位置づけは、このようになっています。
180724_pamphlet_ja_06_ver02_02s
対象は「建造物」でしたが、平成16年の法改正(文化財保護法)で「美術工芸品」も対象になりました。

登録の基準はこちら。
180724_pamphlet_ja_06_ver02_03s
豊橋市の今回の上水道施設では、ひとつめ「国土の歴史的景観に寄与しているもの」に当てはまり、文化庁の資料で、次のように評価されています。
豊橋市上水道施設下条取水場旧ポンプ室始め5か所の建築物または土木構造物は、昭和初期に建設された豊橋市営として最初の水道施設。

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市街地北方の豊川東岸にある下条取水場の旧ポンプ室は鉄筋コンクリート造の平屋建てで、外壁を石造風とし、半円アーチの窓回りや軒先をタイルで縁取るなど上品に仕上げる。

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大江川水道橋は下条取水場と小鷹野浄水場を結ぶ水道道路の一部をなす鉄筋コンクリート造の桁橋で、柱頂部を球形、桁下端をアーチ状にするなど装飾に富み、単調な沿道景観に変化をつける。

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市街地東部にある小鷹野浄水場の緩速ろ過池は現役の鉄筋コンクリート造の水槽で、水槽の縁に花崗岩を張り、流入口を馬蹄形にするなど丁寧なつくりである。

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旧ポンプ室は鉄筋コンクリート造の平屋建て、重量感ある石造風の外観や軒回り等各所に施された幾何学模様の細部装飾が近代浄水場の荘重な表構えをかたちづくる。

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小鷹野浄水場の東にある多米配水場の旧配水池は鉄筋コンクリート造、有蓋の半地下式長方形水槽で、東西両端の管理用の建屋はタイル張りや尖頭アーチ風の扉口など瀟洒に仕上げる。

昭和期における上水道施設の様相を伝えている。(登録基準:国土の歴史的景観に寄与しているもの

(報道発表資料より)
http://www.toyohashi-bihaku.jp/?p=9300
同じく報道発表資料より「市上水道施設5か所の構成・歴史」については次の通りです。
豊橋市上水道施設下条取水場旧ポンプ室始め5か所の建築物・土木構造物は、昭和3年(1928)から翌年にかけて建設された施設で、取水・送水・浄水・配水という上水道システムの基本的な構成を残すと共に、豊橋市の上水道史としての歴史的景観を構成する非常に重要な文化財となっています。またこれら各施設は、建設から約 90 年が経過し、一部の施設は現在も稼働しています。

豊橋市内の近代上水道は、明治 44 年(1911)に起工した陸軍第十五師団の軍用水道が最初です。豊橋市は、大正 13 年(1924)に上水道布設事業のため水源調査を始め、翌年に東京・荒玉水道の技師長を務めた西大條覺にしおおえださとる(前内務省技師)を顧問に迎えて計画を立案しました。

水源は豊川河口から9㎞程上流の豊川伏流水が選定され、取水場は水源から豊川堤防を挟んだ標高5m程に計画されました。取水場と浄水場を結ぶ水道道路では、川を跨ぐための水道橋が架けられました。

浄水場は、洪水の危険を避け取水場から南東方向に 3.3 ㎞程離れた標高 25m程の平坦地に計画変更されています。配水場は屏風岩山頂より少し下った標高 54m程に配され、その後は各戸や消火栓へ自然流下方式で給配水されます。

これら一連の工事は、昭和2年に起工し、昭和4年には主な施設が完成し、昭和5年3月 29 日に竣工しました。


長くなりそうなので、これまでの8件については次のブログにします。

(追記)
夏休みの自由研究に!豊橋の国登録文化財まとめ
(追記おわり)
では!