豊橋市議の長坂です。
政党無所属のひとり会派です。

さて、熊本市議会。
また、賛否分かれる案件が・・・と思っていました。
が、かなりの偏りが・・・
ヤフーニュースのコメント欄を見ると、より辛辣なご意見が見られます。
https://headlines.yahoo.co.jp/cm/videomain?d=20171122-00000050-jnn-soci



この反応、ぼくはかなりショックです。

報道を見ると「友人」がいたようで、どうしてもその日に赤ちゃんを見てくれる人が見つからず、やむにやまれず、というわけではないようです。
女性市議は開会前に着席し、友人が抱きかかえてきた長男を受け取った。議長らと押し問答になった後、促されて別室へと移動。説得に応じる形で友人に長男を預けた上で、議場に戻った。
http://www.sankei.com/west/news/171122/wst1711220048-n1.html
「パフォーマンス」「抗議の姿勢」・・・
見方によって様々な言葉が使えると思いますが、彼女自身の考えを議会に、
あるいは世間に伝えるための行動と、捉えられます。

ぼくも市議会でひとり会派ですが、こんな大胆なこと、
とてもじゃないですが、できません。
「個人の問題」として、解決方法を探してしまうでしょう。



議会の傍聴人に関するニュースとして、
今年、ご近所の蒲郡市議会でもこんな出来事がありました。
愛知・蒲郡市議会が小学生の傍聴拒否 議長が認めず:朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASK6D5QS4K6DOIPE02H.html
このときはNHKのニュースなどでもやっていました。
その後日談です。

まずこのニュースの直後、蒲郡市議会サイトで議長の考えが早急に示されました。
子どもたちの議会傍聴に関する議長の考えについて
http://www.city.gamagori.lg.jp/site/gikai/kodomo-kangae.html

このたび、子どもたちの本会議傍聴を許可しなかったことで新聞、テレビ等で取りあげられるなど、お騒がせしましたことをお詫び申し上げます。また、当日市議会まで足を運んでくれた子どもたちには申し訳なく思っております。(略)

昭和42年に制定されましたこの傍聴規則は長い年月、見直しをされなかったという事実がございます。そして、今回の報道に関して皆さまからいただいたご意見を受け止め、議事の円滑な進行を保ちながらも、子どもたちに直に議会を見ていただけるよう、早急に規則の改正作業を進めます。(略)

平成29年6月15日 蒲郡市議会議長 大場 康議
そして、8月末のニュース。
愛知県蒲郡市議会で6月、小学生が傍聴席への入場を拒否される問題があり、大場康議議長が今後、児童や乳幼児の傍聴を認める判断をしたことが30日、議会事務局への取材で分かった。

6月以降、議会事務局に「傍聴を認めるべきだ」という意見が数十件寄せられ、議会運営委員会の理事会が今月「許可してほしい」との答申を大場議長に伝えていたという。

子供の傍聴拒否した愛知・蒲郡市議会、傍聴認める 「認めるべきだ」の意見受け議長判断 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/west/news/170830/wst1708300038-n1.html
地元紙(東愛知新聞)では、当初から報じられていましたが、
この小学生たちの親のひとりは、蒲郡市議会議員であり、
事前に「不可能」という回答を得た上でのできごとでした。
(名前は長坂判断で伏せています)
傍聴しようとした小学生らは同市議会議員の◯◯◯◯氏の子ども4人と、△△△△さん(41)さんの子どもとその友人4人、◎◎◎◎さん(36)の子ども2人の計10人。小学生らは10日の土曜日が授業参観日で、この日は代休だったためにそれぞれ母親と一緒に傍聴を希望した。

事前にそれぞれに「不可能」としていたが、議場がある市役所を訪れた。小学生が入場できないため、親子で市役所1階に設けられたモニターによる傍聴をした。


市役所も市長も市議会も、世間の声・市民の声にものすごく敏感です。
ということは、蒲郡市議会の事例からもわかると思います。

今回の熊本市議会への反応を見ると、
「うむ、やはり市議会は子連れで来るところではない」だけでなく、
「子育てと仕事(議会活動)の両立は個人の努力で」という現状の追認することでしょう。

ぼくが子育てをしたことがないのでわかりませんが、
「仕事には子どもを預けて行くものだ」という人がいる一方で、
「(できるなら)子どもを連れて、仕事に行きたい」という人もいるのではないでしょうか。

豊橋市には「赤ちゃんのいるデイサービス」があります。
【大ナゴヤ大学・授業】赤ちゃんのいるデイサービス ~固定観念をひっくり返す考え方~
「赤ちゃん」は、職員の子どもです。
経営者そのものがサービス立ち上げ時(≒起業時)に、
小さい我が子のめんどうを見るため常にいっしょであったころもあり、
スタッフ不足の解消のため「職場に子どもを連れてきてもよい」という形にしました。

「子どもを職場に連れて行きたい(あるいは、連れていけるなら仕事できる)」
という人は一定いたようで、結果、介護士不足は解消されているようです。



ぼくは4年前に急逝した友人が、実は過労死であったことが先日発覚しました。
それもあって、過労死や働き方について、とても敏感になっています。

この件について共通の恩師が、テレビの討論番組でこんなことを行っていました。
「制度だけでなく、風土も変えないといけない」

過労死のニュースが流れ、「月に百何十時間の残業」などと報じられると、
「自分の方がもっと働いている」「このくらいなら自己管理の問題では?」
となってしまうのは、そんなことは思っていなくても、
結果として、過大な残業や労働時間を容認することや、
「個人の問題」としてしまうことに、つながっているかもしれない。

ぼくは二度と、自分の周り・友人からこんな悲しい出来事が起きてほしくないし、
今、多少なりとも市職員の働き方や残業時間について見る立場からしても、
絶対にこんな不幸は起こしたくない。



冒頭の熊本市議が、もし「個人の問題」として解決するのであれば、
ベビーシッターにお世話になるなど、粛々と対応していたことでしょう。

けれども市議は「社会の問題」として示したかった。

だからせめて、この行動については「個人の問題」ではなく、
「社会の問題」として捉えていただけないでしょうか。

その上で、ご自身が世の中がよくなったらいいと思う方向はどちらなのか、
あるいは、現状が最適なのかどうか、そんなことを念頭に置いていただければ、
その声に敏感に反応する市役所や市長や市議会が、あるいは国が、
少しずつかもしれませんが、まちや社会をそちらの方に進めると思います。

では。