豊橋市議の長坂です。
奨学金と言えば、日向小次郎です。

さて、2月9日の中日新聞にこんな記事が掲載されました。
1教科優秀なら奨学金 豊橋市が新年度 月2万5000円給付
愛知県豊橋市は2017年度、大学生ら向けに独自の給付型奨学金制度を新設する。国が17年度に先行実施する給付型奨学金は、高校の教科全般での高い成績が支給要件となるが、同制度は1つでも得意分野がある生徒が対象。主要5教科のうち1教科でも成績が良かったり、部活動で顕著な活躍をしたりした高校生の進学を後押しする。
http://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=434504&comment_sub_id=0&category_id=113
まず何が驚きって、東三河版でなく社会面。
給付型奨学金への注目度の高さが伺えます。

そして、次に驚いたのが、2月17日の
予算概要の公表前に、この情報が出てきたこと。

これについては、朝一で財務部長
(市職員の中で5本くらいの指に入るえらい人)
から説明がありました。

なんでも、高校側より2月17日の公表では遅い、
もうそのタイミングでは高校3年生は学校に来ないため、
周知が出来ない、ということで、これだけ先出しの公表になったということ。



その後、詳細を担当の教育政策課に聞きに行きました。

まず、報道発表資料がこちら
170209_01
この奨学金は返済義務がなく、個人の意思を尊重し卒業後の進路も拘束しません

■制度概要
◯対象者
市内の高等学校を卒業し、大学等に進学した学生で、保護者が市内在住であり、次のいずれかに該当する者

(1) 高等学校課程での主要5教科のうち1教科でも高い学習成績(評価4.3以上)を修めた者
(2)教科以外の学校活動で大変優れた成績を修めた者
(3)上記(1)、(2)以外でも特に認める者

◯家計基準 市民税非課税世帯

◯給付額 1月あたり25,000円

◯選考方法 高校推薦(各1名)

◯対象人数 定員12名

・平成29年3月に卒業した学生から給付対象となります。
※平成29年度予算の成立が前提となります。 


いくつか、解説&補足説明をします。

まず、「卒業後の進路も拘束しません」とは、
Uターンが前提であったり、
看護学生奨学金みたいに職業や勤務先についての制限がなく自由ということです。

一方、在学中(給付中)に、
学業成績などの確認はするようです。



続いて、対象者の
「市内の高等学校を卒業し、大学等に進学した学生で、保護者が市内在住」
は、実質的に豊橋市内在住で豊橋市内の高校を卒業した学生となります。

平成29年度については、4月に募集を開始
つまり、その時点で学生じゃない人は対象外です。

「大学等」 は、大学・短期大学・専門学校が対象ということ。
海外の大学もOKということですが、海外は9月入学が基本のため、
実質的に4月時点で「学生」になるのは、かなり難しいかと。 

また、給付期間はその大学の修業年限ということで、
短期大学や専門学校なら2年間か3年間、
大学なら4年間になります。
医学部・薬学部・獣医学部など6年制の学部学科では6年ということです。



「評価4.3以上」は、高校入学時から卒業までの、
その科目の平均
ということです。
高校3年の最後の内申だけじゃなく。

「(2)教科以外の学校活動で大変優れた成績を修めた者」は、
主に部活動や、主要5教科以外の取組みなど。

仮に、フィギュアスケートでオリンピックに出ても、
部活動などの「学校活動」でなければ、(2)の対象外になり、
そのための(3)ということです。



「市民税非課税世帯」について

文科省の資料※によると、生活保護世帯を含む、
住民税(市民税)非課税世帯の高校生は、
全国で1学年あたり16万人ほどいるようです。

全国の高校生は、およそ120万人のため、およそ13%

豊橋市の高校3年生は、およそ3700人のため、
13%をかけると、約500人。

うち、市内の高校に通っているが約半分として250人、でしょうか。

ちなみに今回の「市民税非課税世帯」に、
社会的養護が必要な者(児童養護施設退所者等)
は含まれないということ。

全国に約2千人いるとされる、そういう卒業生たちは、
国が創設する給付型奨学金(豊橋市より多い4万円/月)で、
そのような枠があるから、ということです。

この豊橋市の制度は、国の「給付型奨学金」との併用は不可です。
(その他の奨学金との併用はOK)



「◯選考方法 高校推薦(各1名)」
「◯対象人数 定員12名」について

 豊橋市内にある12の高校から各1名ということで、
定員が12名ということです。

そのため、窓口は市役所でなく、
希望する卒業生は、自身の高校の先生に
まず相談
されてください。

具体的には、下記の12校。
  • 県立 時習館高等学校
  • 県立 豊橋工業高等学校
  • 県立 豊橋商業高等学校
  • 県立 豊橋西高等学校
  • 県立 豊橋東高等学校
  • 県立 豊橋南高等学校
  • 県立 豊丘高等学校
  • 市立 家政高等専修学校
  • 市立 豊橋高等学校
  • 私立 豊橋中央高等学校
  • 私立 藤ノ花女子高等学校
  • 私立 桜丘高等学校
対象となる生徒のうち、どの生徒を推薦するかは、
各高校の裁量となる様子。

ということは、ここからは長坂の推察ですが、

「主要5教科のうち1教科でも」と言っても、
当然2教科3教科、優秀な卒業生が選ばれるでしょうし、

それ以外にもどこに合格・進学したか、
(実家から通える範囲か、入学難易度など)
も考慮に入って来ることでしょう。


  • 豊橋市民なのに、市外の高校に通う高校生に不公平でないか
  • 同じ評価4.3でも高校ごとに違うでないか
  • 金額が少なすぎないか
  • 高校推薦でなく、豊橋市がまとめて選考すべきでないか
  • 私立高校と公立高校が同じでいいのか
  • 定員が少なすぎないか
などなど、突っ込みどころはありますし、
目玉政策だけに、3月の議会(予算委員会)でも、
多くの議員が質疑をされることになるかと存じます。

と言え、まずは来年度すぐに使える、
給付型奨学金が出てきただけでも、ぼくはよいと思っています。



また、この奨学金とは別に、Uターン促進型の奨学金について、
来年度に設計し、再来年度(平成30年度)からの開始を目指しているようです。

ぶり奨学金!

では!


※文科省資料
170209_02
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/08/__icsFiles/afieldfile/2016/09/01/1376806_1_2_1.pdf
給付型奨学金制度の設計について
<これまでの議論の整理>
給付型奨学金制度検討チーム
平成28年8月31日