先日、日本地域政策学会というものに、行って参りまして、
藻谷さんのお話を受けての記事は、先日書きましたが、
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例えば、「創造的過疎」という言葉で有名な、徳島・神山町は、こんな試算を元に移住促進に取り組んでいます。
- まち・ひと・しごと創生に関する有識者懇談会資料(PDF)|NPO法人グリーンバレー理事長 大南信也
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/kondankai/dai2/siryou2.pdf
2035年に年少(0-14歳)人口が1学年20人確保するためには、年間5世帯20人(子ども10人)の移住を実現させれば可能。 という試算をして移住促進に取り組んでいます。 「年間5世帯20人(子ども10人)」というのは、とてもわかりやすい数字。
ちなみに、1学年20人という数字は、おそらく学校(特に高校)を町に維持するために目安となる数字と思われます。 町に高校があるかどうか、というのは切実な問題です。
僕も前前職で沖縄・久米島に関わっていてわかったのですが、町に通える高校がないということは、15歳で子どもが町を出て行ってしまうということに直結します(特に島の場合)。 15歳までその地域を出て行ってしまうか、18歳まで過ごせるか、というのは、その3学年分の人口が流出してしまうのみならず、彼・彼女たちが、その後、再びその地域に住むかどうか(Uターンするかどうか)にも大きな影響を与えます。
さて、話戻して、「年間5世帯20人(子ども10人)」について。
神山町は、総人口5,882 人(2015年7月 現在)であり、ざっと豊橋市の64分の1です。 つまり先ほどの「年間5世帯20人(子ども10人)」を豊橋規模の自治体で捉えようとすると、単純に64倍すると「320世帯1280人(子ども640人)」とかになっちゃう。 実際、豊橋市には、毎年1000人単位の社会増&減があるので、おかしくない話ですが、「毎年『320世帯1280人(子ども640人)』の移住者を増やそう!」とか旗振っても全然ピンと来ません。
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そんなわけで、椎川さんのおっしゃる「地区・コミュニティ単位の人口推計」というのは、とても納得感のあるお話でした。 ところが、市町村区より細かい区分の人口推計は出ていません。 自分でつくる必要があります。
豊橋でコミュニティといえば、やはり校区。 僕も「愛校区心のあるまち、豊橋。」と、何度かコラムを書かせてもらっています。
豊橋の小学校区は52あり、規模は約1,400~17,000人(平均約7,200人)です。 一度、僕自身が地域活性化センターでお話させてもらった縁で、理事長の椎川さんとご縁があり、椎川さんがおっしゃる「コミュニティ」という単位としてこのくらいの規模感の小学校区は相応しいのかをご相談したところ、「住民が我がこととして捉えられる範囲という意味で、小学校区単位でよろしいかと思います。」というご回答をいただいたので、小学校区別の人口推計をしてみました。
その結果がこちらです。
赤い◆が、豊橋の小学校区です。 住んでる校区、見つかりますか?
推計の方法は、改めて詳述したいと思っていますが、ざっくりお伝えすると、
高根校区です。
全国の1811市町村区の枠から大きく外れた位置に出現しました。 これはおそらく、むつみね台の宅地造成(2,500人規模の高根校区で、計画人口約940人)の影響と考えられます。
過去10年の人口から、個別事情を考慮せず、機械的に推計の数式に当てはめたので、このような外れ値のような推計も出ています。 また何度も確認しましたが、もしかしたらどこかで数式をミスしているかもしれません。 それでも今後の豊橋・校区を考える、ある程度の参考にはなると思い、公開いたします。(もし修正が見つかれば、適宜更新します)
さて、高根校区には申し訳ないですが、
それ以外の51校区が含まれるこのエリアを見やすいように拡大します。
地元の人が見ればよくわかると思いますが、明らかな傾向があります。
右上ほど新興住宅地で左下ほど昔からの地域(今、右上の地域もいずれおよそ左下に移って行く)、という傾向は全国的なものと変わりませんが、豊橋市の場合、市の中心部(豊橋駅周辺、具体的には八町・新川・旭・向山・花田・松山・松葉など)が左下にあり、郊外ほど右上にあります。
その中でもなんと杉山、吉田方は(そして枠外の高根も)、まだ現役世代人口が増加となっています。 ちなみに、全国1811市町村区でも、現役世代が増える自治体は、13ほどしかありません。
逆に、八町・新川・旭は、もう高齢者の減少が始まっている様子。 また、藻谷さんがおっしゃる安定的な状態(0%交点)に近いのは、旭・賀茂・芦原校区が比較的に。
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更に、各校区別の人口推計グラフも作成しました。
こちら岩田校区。
見方としては、左上に小学校区名。
上部に2010年から2040年にかけての、
最初の2つは前出の散布図グラフに使用。 20~39歳女性人口増減率は、日本創成会議に倣って算出してみました。
そして右上には、神山町に倣い、2040年時の5歳-9歳の一学年当たり平均人口(5歳-9歳人口を1/5にした値)を算出しました。
グラフを見るポイントとしては、青色グラフ(0-14歳人口)と赤色グラフ(15-64歳人口)がどのくらいの勢いで減り、緑色グラフ(65歳以上人口)がどのくらいの勢いで増えるか。そして、その割合。 藻谷さん的には、グラフの増減が少なく、割合が一定な安定状態になっていくのが理想的とされています。
さて、続いて豊校区です。
以下、残り50校区を全て貼っていくとあまりに冗長になり過ぎるので、記事を分割しました。
今住んでいるなど、気になる校区を見てみてください。(校区の順番は豊橋市のオープンデータのものをそのまま踏襲しています)
藻谷さんのお話を受けての記事は、先日書きましたが、
- 全国1811市町村区の高齢者と現役世代の増減をまとめてみた。 - 愛知豊橋・長坂なおと のblogもうお一方、椎川忍さん(一般財団法人地域活性化センター理事長)のお話の中で、こんなご発言がありました。
http://nagasakanaoto.blog.jp/150723.html
地域の人たちが当事者意識を持つためには、まず、地区・コミュニティ単位の人口推計をつくるのがよい(要旨)僕も常々、人口38万(豊橋の場合)という規模では、身近なこととして考えにくい、と思っていたのでとても合点が行く話でした。
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例えば、「創造的過疎」という言葉で有名な、徳島・神山町は、こんな試算を元に移住促進に取り組んでいます。
- まち・ひと・しごと創生に関する有識者懇談会資料(PDF)|NPO法人グリーンバレー理事長 大南信也
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/kondankai/dai2/siryou2.pdf
2035年に年少(0-14歳)人口が1学年20人確保するためには、年間5世帯20人(子ども10人)の移住を実現させれば可能。 という試算をして移住促進に取り組んでいます。 「年間5世帯20人(子ども10人)」というのは、とてもわかりやすい数字。
ちなみに、1学年20人という数字は、おそらく学校(特に高校)を町に維持するために目安となる数字と思われます。 町に高校があるかどうか、というのは切実な問題です。
僕も前前職で沖縄・久米島に関わっていてわかったのですが、町に通える高校がないということは、15歳で子どもが町を出て行ってしまうということに直結します(特に島の場合)。 15歳までその地域を出て行ってしまうか、18歳まで過ごせるか、というのは、その3学年分の人口が流出してしまうのみならず、彼・彼女たちが、その後、再びその地域に住むかどうか(Uターンするかどうか)にも大きな影響を与えます。
さて、話戻して、「年間5世帯20人(子ども10人)」について。
神山町は、総人口5,882 人(2015年7月 現在)であり、ざっと豊橋市の64分の1です。 つまり先ほどの「年間5世帯20人(子ども10人)」を豊橋規模の自治体で捉えようとすると、単純に64倍すると「320世帯1280人(子ども640人)」とかになっちゃう。 実際、豊橋市には、毎年1000人単位の社会増&減があるので、おかしくない話ですが、「毎年『320世帯1280人(子ども640人)』の移住者を増やそう!」とか旗振っても全然ピンと来ません。
■
そんなわけで、椎川さんのおっしゃる「地区・コミュニティ単位の人口推計」というのは、とても納得感のあるお話でした。 ところが、市町村区より細かい区分の人口推計は出ていません。 自分でつくる必要があります。
豊橋でコミュニティといえば、やはり校区。 僕も「愛校区心のあるまち、豊橋。」と、何度かコラムを書かせてもらっています。
豊橋の小学校区は52あり、規模は約1,400~17,000人(平均約7,200人)です。 一度、僕自身が地域活性化センターでお話させてもらった縁で、理事長の椎川さんとご縁があり、椎川さんがおっしゃる「コミュニティ」という単位としてこのくらいの規模感の小学校区は相応しいのかをご相談したところ、「住民が我がこととして捉えられる範囲という意味で、小学校区単位でよろしいかと思います。」というご回答をいただいたので、小学校区別の人口推計をしてみました。
その結果がこちらです。
赤い◆が、豊橋の小学校区です。 住んでる校区、見つかりますか?
推計の方法は、改めて詳述したいと思っていますが、ざっくりお伝えすると、
- 国立社会保障・人口問題研究所の報告書 『日本の地域別将来推計人口』(平成25年3月推計) の推計方法を参考に、
http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson13/6houkoku/houkoku.asp - 豊橋市のオープンデータ 『校区別5歳階級別人口表』 を元に推計しました。
http://www.city.toyohashi.lg.jp/item/16246.htm
高根校区です。
全国の1811市町村区の枠から大きく外れた位置に出現しました。 これはおそらく、むつみね台の宅地造成(2,500人規模の高根校区で、計画人口約940人)の影響と考えられます。
過去10年の人口から、個別事情を考慮せず、機械的に推計の数式に当てはめたので、このような外れ値のような推計も出ています。 また何度も確認しましたが、もしかしたらどこかで数式をミスしているかもしれません。 それでも今後の豊橋・校区を考える、ある程度の参考にはなると思い、公開いたします。(もし修正が見つかれば、適宜更新します)
さて、高根校区には申し訳ないですが、
それ以外の51校区が含まれるこのエリアを見やすいように拡大します。
地元の人が見ればよくわかると思いますが、明らかな傾向があります。
右上ほど新興住宅地で左下ほど昔からの地域(今、右上の地域もいずれおよそ左下に移って行く)、という傾向は全国的なものと変わりませんが、豊橋市の場合、市の中心部(豊橋駅周辺、具体的には八町・新川・旭・向山・花田・松山・松葉など)が左下にあり、郊外ほど右上にあります。
その中でもなんと杉山、吉田方は(そして枠外の高根も)、まだ現役世代人口が増加となっています。 ちなみに、全国1811市町村区でも、現役世代が増える自治体は、13ほどしかありません。
逆に、八町・新川・旭は、もう高齢者の減少が始まっている様子。 また、藻谷さんがおっしゃる安定的な状態(0%交点)に近いのは、旭・賀茂・芦原校区が比較的に。
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更に、各校区別の人口推計グラフも作成しました。
こちら岩田校区。
見方としては、左上に小学校区名。
上部に2010年から2040年にかけての、
- 15歳-64歳人口(男女計)増減率
- 65歳歳以上人口(男女計)増減率
- 20歳-39歳女性人口増減率
最初の2つは前出の散布図グラフに使用。 20~39歳女性人口増減率は、日本創成会議に倣って算出してみました。
そして右上には、神山町に倣い、2040年時の5歳-9歳の一学年当たり平均人口(5歳-9歳人口を1/5にした値)を算出しました。
グラフを見るポイントとしては、青色グラフ(0-14歳人口)と赤色グラフ(15-64歳人口)がどのくらいの勢いで減り、緑色グラフ(65歳以上人口)がどのくらいの勢いで増えるか。そして、その割合。 藻谷さん的には、グラフの増減が少なく、割合が一定な安定状態になっていくのが理想的とされています。
さて、続いて豊校区です。
以下、残り50校区を全て貼っていくとあまりに冗長になり過ぎるので、記事を分割しました。
今住んでいるなど、気になる校区を見てみてください。(校区の順番は豊橋市のオープンデータのものをそのまま踏襲しています)
- 東田、八町、松葉、花田、松山、新川、羽根井、下地、大村、津田校区
http://nagasakanaoto.blog.jp/150725.html - 牟呂、汐田、吉田方、高師、幸、芦原、福岡、中野、磯辺、大崎校区
http://nagasakanaoto.blog.jp/150726.html - 野依、植田、牛川、鷹丘、下条、多米、岩西、飯村、つつじが丘、旭校区
http://nagasakanaoto.blog.jp/150727.html - 栄、天伯、大清水、富士見、向山、前芝、西郷、玉川、嵩山、石巻校区
http://nagasakanaoto.blog.jp/150728.html - 谷川、小沢、細谷、二川、二川南、豊南、高根、老津、杉山、賀茂校区
http://nagasakanaoto.blog.jp/150729.html
これをきっかけに、少しでも多くの人が「もう豊橋でも人口減少が始まっている」ということに当事者意識を持ち、神山町のように身近でわかりやすい目標とそれに見合う地域発の取り組み出てくるといいなと思います。
では。
では。