豊橋となりの田原市、その中央図書館の豊田高広(とよだ・たかひろ)館長とお話する機会があり、めちゃめちゃおもしろいお話が聞けました。 豊田館長ってこんな方。
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1958年、静岡市生まれ。 静岡市役所入所後、94年から図書館。 開設準備にあたった御幸町図書館(ライブラリーオブザイヤー2007優秀賞)で、06年から館長を務める。 愛知県田原市図書館長の公募に応募し、10年4月より館長として単身赴任。 著書(共著)『図書館はまちの真ん中』『市場化の時代を生き抜く図書館』


さて、僕は図書館の「司書」という人たちが何をやっているのか、さっぱりわからず、その疑問を率直にぶつけてみました。 もちろん、見えないところで、図書館の運営に尽力をされているとは思うのですが、国家資格にまでなっている「司書」という方々が、どういう特殊技能を身につけているのか、さっぱりわからなかったのです。
長坂(以下、な): 最近、ネットなんかで、司書の方の労働環境とか、そういうのをよく見るのですが、そもそも司書の方たちって、どういう人たちなんですか? 具体的には、僕たちが彼らを活用できるときってどういうときです?

豊田様(以下、と): 図書館の運営はもちろんだけど、 調べ物とかあるときに、相談すれば、適切な資料を提供してくれたり、他の図書館にある場合のアクセス方法なんかを教えてくれるよ。

な: とは、言っても、今だとネットとかもあるわけで、わざわざ図書館に行かなくても、かなりネットで調べられますよね。 僕自身、決まった本を探す相談をしたことがあっても、調べごと自体の相談をしたことがないです。 どんな質問なら、司書の方たちの力を最大限活用できるのですか?

と: うーん、例えば、「地域別の漬け物の消費量」とか。 まず、図書館内の本を探してみて、それでもなければ、他の図書館資料。 全国の大学図書館や、国会図書館も含めて。 それでもダメなら、新聞や業界紙とか。 それでもダメなら、業界団体に電話したりするよ。

な: マジですか!!! そこまでやってくれるんですか!?

と: うん、やったことある。

な: それってお金かからないんですか?

と: 遠くの資料を取り寄せたりするコピー代とか、印刷代とかがかかるよ。

な: 一枚10円とか?

と: そんな感じ。

な: マジですか!!! 一枚10円でそこまで調べてくれるんですか!



病気の話
と: 最近、インフォームド・コンセントとかあるでしょ。 病院で情報を提供されて、治療を受けるかどうかとか。 でも、そもそも病名が難しくて、どんな病気かもわからなかったりとかするわけ。 でも、お医者さんもお忙しいし。 ああいうのも、診断書とかを持ってきてくれれば、調べたりもするよ。

な: え!? セカンドオピニオンもできるんですか!?!?

と: 医師じゃないから、セカンドオピニオンではないのだけど、できる限りの情報を集めて、説明するよ。

な: でも、図書館ってそもそも医師でないし、治療受けるか受けないかみたいな判断はしないわけですよね。

と: そう。 資料を集めて、説明するまで。 けれども、統計資料とか、学説とかまで集めるよ。

な: それはすごいですね。 それも、コピー代だけ?

と: うん、そう。 こういう分野で、図書館の価値ってもっともっと上がっていくと思うんだよね。



そして、離婚の話
と: あとね、揉め事とかの調べごともしたりするよ。 離婚とか。

な: マジですか!?

と: うん、離婚もだけど、揉め事ってだいたい原因があるわけじゃん。 そういうのを調べたりもする。

な: すげー。

と: 過去に、なんか別の揉め事で、相談に来た夫婦がいらっしゃって、図書館でどんどん険悪になっていくから、いっしょに離婚の本も出そうかと思ったこともあった(笑)


ざっくりですがこんな感じでした。 わかったことは、僕たちは司書を全然活用できていない! 僕は前職で、リサーチ業務もしていたのだけど、「漬け物調査」とか、まさにやってたことそのもの! 当時、このことを知っていたら、もっと有効活用していたのに!!!! 市場調査の類は、どんどん図書館に相談できるってことがわかった。

それから、医療や法律なんかの専門知識も、多くのところで、司書を活用できることがわかった。 医師や弁護士に相談に行くにしても、事前にある程度の知識をつけておけば、その分、相談時間の短縮=お金の節約、にもなる。

というわけで、どんどん司書を活用しよう! 少なくとも僕は、この豊田さんとのお話で、司書に対する見方が全然変わりました。 豊田さん、ありがとうございます! 

では!