うおでいり

 嘉永4(1851)年から7年間にわたり,吉田(豊橋)魚町と牟呂村・前芝村の間に「魚出入」という争いが起きた。前年,嘉永3(1850)年には片浜13里(渥美半島の太平洋側)の海岸は鰯(いわし)の大漁にわいた。肥料用にその鰯を買った農民とそれを売った牟呂村,前芝村の漁師が吉田魚町の者に待ち伏せされ,鰯やその売上代金を取り上げられ乱暴されたことが争いの発端となった。

 吉田魚町は,江戸時代に吉田の魚問屋があり,取り引きなどに藩の保護を受け,魚類取り引きの中心として栄えていた。そこで魚町は,牟呂村,前芝村に対して,町方での魚の直売を禁止するよう奉行所に訴えた。両村は,白魚(しらうお)運上・蛤(はまぐり)運上をしていることなどを理由に納得しなかった。しかし,奉行所は両村に直売禁止を命じた。これに対して両村は強硬に抗議し,吉田魚町は領主から米350俵をもらうことで譲歩し,牟呂村と前芝村に鑑札が交付され,最終的に小魚に限り両村の直売が認められた。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。
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