かものかねがふち

 昔,賀茂の庄(豊橋市賀茂町)に長者がいた。その家には村で評判の美しい娘がいた。川を隔てた向かい側の麻生田(あそうだ)(豊川市麻生田町)に,京の都から高貴な身分の若者があらわれた。娘は,若者に想いを募らせた。ある日のこと,石巻神社に参詣した若者と偶然に出会い,二人は美しい景色の和里淵(わりぶち)あたりで時のたつのも忘れて語り合った。その夕暮れ時,権現山の方から,美しい寺の鐘が聞こえてきた。二人は再会を約束しあって別れた。ところが,若者は,急に都に呼び戻され,早々に京に旅立ってしまった。娘は若者が忘れられず,思い出の場所に来ては鐘の音を聞き,涙を流す日が続いた。思いつめた娘は権現山に登り,美しい音色を放つ鐘を抱くと,和里淵に身を投げた。村の人々は娘を哀れみ,この淵を「鐘ヶ淵」と呼ぶようになったという。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。
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