とよがわようすい

 豊川用水は,宇連(うれ)ダム(南設楽郡鳳来町川合)と大島ダム(同鳳来町名号)から放流された水を宇連川で約16㎞流下させ,大野頭首工(同鳳来町大野)で30立方メートル/s(最大)を取水し,東部幹線水路で渥美半島の先端まで約76㎞,西部幹線で蒲郡まで約36㎞を送水する用水路である。また,豊川の牟呂松原頭首工(新城市一鍬田)から取水され,豊橋市やその周辺に送水する牟呂用水および松原用水も豊川用水に含まれる。

 豊川用水事業は,昭和2(1927)年4月に農林省の大規模農業水利調査として初めて計画された。第2次世界大戦後の昭和24(1949)年9月に国営豊川農業水利事業所が開設され,宇連ダムの建設工事が着手された。昭和26(1951)年12月には,国土総合開発法に基づく「天竜東三河特定地域」に指定された。昭和33(1958)年3月には,天竜川水系の佐久間ダムからの分水協定が結ばれ,農業用水のほかに水道用水・工業用水としての利用も追加された。昭和33(1958)年12月に宇連ダムが完成,同36(61)年7月に大野頭首工が完成した。また,昭和36(1961)年9月に愛知用水公団が事業を継承し,同43(68)年4月に豊川用水管理事業所が発足し,同43(68)年5月に豊川用水が完成して完工式が行われた。昭和43(1968)年10月に水資源開発公団に統合され,種々の改組があったが,平成13(2001)年4月に豊川用水総合事業部となり,同13(01)年12月に大島ダムが完工し,翌14(02)年3月に豊川総合用水事業が完了した。さらに,平成14(2002)年4月に豊川用水2期事業促進協議会に改称された。これは,適切な水配分や施設の安全性を維持し,市民の生活用水や農業・工業用水の効果的な水利用と合理的な水管理の実現を図るためである。

 豊川用水は,東三河地域の田畑約1万8100haの農業用水,4市7町・約72万人の水道用水および東三河地域および湖西地域の製鋼・食料品・輸送機械などの84事業所(平成14年現在)に工業用水を供給している。特に農業用水は受益面積の6割近くが畑地灌漑(かんがい)で,渥美半島を全国有数の野菜・果物・花卉の施設園芸の一大産地とした。東部幹線水路には上流から順に大原調整池(新城市)・三ツ口池・二川サイホン・万場調整池(豊橋市)・芦ヶ池調整池(田原市)の施設があり,終点は初立池(渥美郡渥美町)である。西部幹線水路には,駒場調整池(豊川市)・蒲郡調整池(蒲郡市)があり,終点は蒲郡浄水場(蒲郡市)である。

 参考文献 - 豊川用水研究会・水資源開発公団中部支社「豊川用水史」

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。
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