むろむら

　牟呂村は，柳生川河口の渥美湾に面している。牟呂の地名は熊野の「牟婁(むろ)」に由来するとされる。渥美郡牟呂村の村高は，「三河国村々高附」（寛永期）に1844石余，「旧高旧領取調帳」（明治元年）に上牟呂村豊橋藩領分610石余，中牟呂村豊橋藩領分474石余・坂津寺領5石・真福寺領3石，下牟呂村豊橋藩領分628石余，八幡社領4石余，楽法寺領2石とある。「吉田領戸数調」（安政5年）によれば，家数508，人数2480であった。

　「三州吉田領神社仏閣記」（元禄6年）に，牟呂村「八幡宮・大明神・天白・弁財天・社供神・大稲梁・熊太郎・矢剣社・八王子・若宮・牛頭天王，禅宗瑞雲山真福寺・真言宗坂津山西福寺・禅宗玉篭山楽法寺・右同宗潮響山宗住寺・浄土宗順雲山普仙寺・日蓮宗本昌山法花寺・同長竜山本登寺」とある。神社の「八幡宮」は牟呂八幡社，「大明神」は楠大明神で高良社（東脇），「天白」は明治43（1910）年高良社に合祀，「弁財天」は市杵島社（市場），「社供神」は作神社（中村），「大稲梁」（大頭竜神）は明治40（1907）年熊太郎社に合祀，「八剣社」は花ヶ崎村（羽根井）の氏神，「八王子」は八所社（外神），「若宮」は若宮社（坂津），「牛頭天王社」は素盞嗚社（大西）である。

　「三河国二葉松」（元文5年）三州古城記に「牟呂村古屋舗，鷲津村本光寺棟札，牟呂城主鵜殿兵庫頭，牟呂兵庫頭正茂」とあり，「牟呂村八幡，社領四石五斗，神主森田伊勢」「牟呂村，黒印五石，禅宗関山派，本寺小松原村東観音寺，瑞雲山真福寺」「同村，寺領三石，真言宗古義，本寺赤岩村法言寺，西福山坂津寺」「同村，黒印二石，禅宗曹洞派，本寺吉田竜拈寺，玉竜山楽法寺」とある。

　明治11（1878）年，上牟呂村・中牟呂村・下牟呂村・松島新田・富田新田・上ノ原新田・草間村・向草間村・松井新田は合併して磯辺村となった。しかし，明治17（1884）年，上牟呂村・中牟呂村・下牟呂村・松島新田・富田新田・上ノ原新田は牟呂村となった。明治24（1891）年，神野新田のうち872町歩余を編入した。昭和7（1932）年に，豊橋市牟呂町・往完町・神野新田町となった。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。

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