ほうぞうじ

 仏教山法蔵寺(臨済宗妙心寺派)の創立は,天正2(1574)年である。寺伝では,「村に月法庵と海蔵院の2か寺あってこれを併合,慶長9(1604)年,東観音寺中興玉岫(ぎょくしゅう)和尚を勧請して法蔵院とした」とある。本尊は仏師長兵衛作と伝える木造観音・勢至(せいし)の両菩薩坐像2体が同一厨子(ずし)内に収納されている。その他の仏像には波に打ち寄せられた通称「波寄観音」坐像,12神将に守られ日光月光両菩薩を従えた薬師如来像(伝恵心僧都作)などがある。

 延宝8(1680)年に火災で焼失,翌9(81)年鶴公和尚が後背地である伊古部村本郷に移転再興した。大正7(1918)年法地に転格し,昭和17(1942)年寺号を法蔵寺とした。その規模は書上によると「客殿四間・六間,庫裡三間・五間」とある。大正12(1923)年,海蝕から逃れるため後背地の伊古部村長左ヶ谷に移築した。昭和19(1944)年,東南海大地震によって庫裏(くり)は倒壊,本堂は大破した。

 昭和21(1946)年庫裏を新築,本堂は大修理をした。しかし,古材による普請(ふしん)であったため老朽化が進み,昭和58(1983)年に現在地(豊橋市伊古部町下リ)へ本堂,位牌(いはい)堂,庫裏などすべてを新築移転した。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。
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