こちょう

　戸長は，明治4（1871）年4月の戸籍法により戸籍編制事務の担当者（戸籍吏）として区（戸籍区）ごとに任命された。戸長は戸籍吏の長という意味である。明治5（1872）年4月，旧幕時代からの庄屋・名主・年寄などが廃止されたことにより，戸長は町村行政の担当者となった。その後，戸長の選任や配置の基準などは紆余曲折したが，戸長制度は，郡区町村編制法が制定された明治11（1878）年から同22（89）年の市制町村制の施行まで，地方行政制度の基本となった。

　戸長は，原則として町村に１人を配置するが，数か町村（連合町村）に１人の場合もあった。戸長の任期は3年，該当町村の住民で不動産を有する20歳以上の男子の入札で選任されたが，自由民権運動の急進化に伴い，明治17（1884）年，官選に改められた。職務は布達の公示，徴税，戸籍，徴兵，教育など国の委任事務と道路橋梁堤防用水などの修復保全，祭礼などその町村共同体としての事務があった。戸長役場は当初戸長の私宅が使用され，筆生（書役），小使が吏員として勤務した。

　明治17（1884）年，戸長役場区域の再編が大規模に行われた。豊橋市域でみると，明治11（1878）年に63か所あった戸長役場が同17（84）年には28か所に減少した。これは一町村限りの戸長役場が減って連合町村の戸長役場が増加したことを意味し，それは国家の緊縮財政による町村への国の委任事務の増加に伴う措置であった。この時の連合町村が，明治21（1888）年の町村合併の基本となった。明治22（1889）年，市制町村制の施行により戸長制度は廃止された。

- -
豊橋市議の長坂です。
豊橋のことをお調べくださり、ありがとうございます。

このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。

苦節５年半「豊橋百科事典」とうとうオープンデータ化！ - 愛知豊橋市長坂なおと のblog
http://nagasakanaoto.blog.jp/210125.html 

豊橋百科事典については、下記の豊橋市サイトからもご覧いただけます。
https://www.city.toyohashi.lg.jp/14682.htm 

では！