まえしばみなと

　前芝湊は，豊川(とよがわ)河口部右岸，前芝村にあった湊である。天文17（1548）年，今川義元が伊奈城（宝飯郡小坂井町）の本多忠俊に「蔵（前）芝湊并湊役」を含む旧領を保証しているので，それ以前から湊としての機能を果たしていたことがわかる。江戸時代には，廻船問屋もあって，江戸などへの物資輸送が行われていた。伊勢参宮人の渡船をめぐっては，上流にあった吉田湊・船町の利権を侵すこともあり，寛文4（1664）年には係争が起こっている。

　天保12（1841）年の「前芝村持船員数帳」によると，前芝村では60～100石積の「五十集船(いさばぶね)」10隻，同「平田船」5隻のほか，「作小舟」126隻，「小漁船」7隻を所有していた。寛文9（1669）年には吉田（豊橋）藩主小笠原長矩(ながのり)により燈明台が設置された。また，燈明台の西には吉田藩の設けた番所があり，吉田湊・前芝湊へ入る船の積荷の検査や税の徴収などの取り締まりが行われていた。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。

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