たいりくばらたなご

 タイリクバラタナゴ(コイ科)は,タナゴの仲間で,二枚貝の体内を借りて子育てをする珍しい習性をもった淡水魚である。以前は,河川やため池などでドブガイやカラスガイなどのイシガイ科の二枚貝が,ヤリタナゴなどの繁殖を手助けていた。ところが,昭和40年代後半ころより河川の改修工事や水質汚濁のため,二枚貝の生息が減少し,これまでのタナゴ類は激減してしまった。昭和17(1942)年,中国大陸からソウギョやハクレンの稚魚の放流に混じってきた外来種で,汚れた水に強く,産卵するための二枚貝を選ばないので繁殖力が強い。豊橋市内では牟呂用水,松原用水,神野新田をはじめ前芝周辺および水神池などでよく見られる。特に繁殖期の7月から8月には,雄の体側は虹色に輝くため,観賞魚として飼育されている。繁殖期には雌と雄が並ぶように貝に近づき,雌は長い産卵管を貝の排水管内に差し込んで産卵する。直ちに雄が入水管近くで放精するため,水と一緒に精子が体内に入って卵が受精する。やがて孵化(ふか)し,長さ1㎝ほどになると出水管から出て泳ぎ始める。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。
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