とよがわようすいし

　「豊川用水史」（水資源開発公団中部支社・愛知県　昭和50年）は，水資源開発公団と愛知県によって企画され，愛知県と水資源開発公団の委託を受けた豊川用水研究会と豊川用水史編纂委員会によって執筆・編集された。本文編と資料編の2巻で構成されている。

　豊川は木曽川などと比べると，延長流域も劣り，水量にも恵まれていない。そのため，東三河一帯への農業用水や工業用水，上水道用水の利用を考えると著しい供給不足となる。そこで考えられたのが，天竜川の流域変更と佐久間ダムから分水して豊川へ導水するという広域的な水利用の計画であった。この計画を実現したのが豊川用水である。豊川用水の構想は大正10（1921）年ごろ，近藤寿市郎（1870～1960）が提唱したことに始まるといわれている。農林省が昭和2（1927）年大規模開墾事業として調査を開始し，同24（49）年に国営事業として着手した。その後，昭和36（1961）年，愛知用水公団が継承し，豊川用水は昭和43（1968）年に完成し，通水が開始された。

　豊川用水の受益地は，豊川流域に広がる豊橋平野と渥美半島および蒲郡市，静岡県湖西市である。前半で，これらの受益地にとっての豊川用水の必要性が述べられている。後段以下で豊川用水事業の着想から着工までを年代順にたどり，事業の進展，費用の償還，用水の管理運営から，用水が地域の農業経営にもたらした成果について記述されている。続いて上水道用水，工業用水の供給の上での役割と今後の課題が述べられている。「豊川用水史」資料編では，豊川用水事業完成までの重要な資料が各部門ごとに年代順に収録されている。

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このページは、2006年12月発刊の豊橋百科事典を元に作成しています。

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