豊橋市議の長坂です。
新アリーナ賛成の方にも読んでほしい話です。

さて、豊橋の新アリーナに関する予算審議が、市議会でありました。

https://youtu.be/tHlAbvAHtgo?t=5190
1:26:30頃からみっちり30分聞きました(上記URLは頭出し済)

質疑してわかったのは、今回の浅井市長の判断が、
とても練度の低い調査・検討を元に行われた、ということです。

今回は主に、席数(アリーナ規模)についてです。



浅井市長は、アリーナ規模について次のように発表しました。
市民利用のほか B1リーグをはじめとするプロスポーツや若者が魅力を感じるコンサート興行、コンベンション機能など多目的利用が可能な 5,000人規模のアリーナを目指します
http://nagasakanaoto.blog.jp/220530.html 
しかし残念ながら5,000席では、興行主側の需要に応え難いことがわかりました。

静岡市でも新アリーナが検討されており、今年になって「民設民営」で「誘致」される方針が示されました。再開発が進むJR東静岡駅に直結とも言える超駅前好立地です。
https://news.yahoo.co.jp/articles/521226683e5e756854c2d40fc8d7983556590072 
もし豊橋に新アリーナができれば、大競合です(静岡市が競合と認識するかわかりませんが)

この静岡市新アリーナ、当初は駿府城の隣で検討されていたようですが敷地の手狭さなどを理由に、東静岡駅前に変わったという経緯があります。

静岡駅からの距離感で言えば、吉田城址でもある豊橋公園で検討されていたものが、二川駅前に変わったようなものです。

その静岡市の市場調査、豊橋市調査が恥ずかしくなるほど、優れています。

結論から言えば、全国的な音楽コンサートの需要は7,000~8,000席(以上)であり、
5,000席では、つくっても音楽コンサート需要は難しい、ということです。

長坂が他で調べたことも踏まえると、
  • ホールコンサート(ツアー):1,500席~3,000席前後
  • アリーナコンサート(ツアー):1万~2万前後(7,000~30,000ほど、含む日本武道館・横浜アリーナ・さいたまスーパーアリーナなど)
  • ドームコンサート(ツアー):4~5万(北海道・東京・名古屋・大阪・福岡の5大ドーム)
演出やそのために興行側が用意する機材設備が、会場の形状・仕様(ホール/アリーナ/ドーム)で、変わるため、大は小を兼ね難く(ホールコンサートをアリーナ会場で展開は難しい)、

「5,000席のアリーナ」など、ここからずれる大きさの会場は使われにくい(使いにくい)、ということです。



それでは静岡市の調査。

先ずこちらは平成29(2017)年度調査
(このときは駿府城の隣地が前提)
【市場調査】
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◯施設運営事業者
  • ポップスコンサートの場合、年間15件(土日2日間本番として30日)程度の誘致は可能との見解
  • アリーナの規模としては、ポップスコンサートの場合は8,000~10,000席が必要
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◯コンテンツ事業者
  • 7,000~10,000席規模であればポップスコンサートの誘致は可能との意見がある。その根拠として、東京有明に7,000席の施設建設の計画があり、当施設が完成すればこの規模に合わせたライブが全国展開され、静岡もその全国ツアーの開催地に組み込まれる可能性
  • 7,000~10,000席規模のアリーナであれば年間40日程度の利用は可能
  • 5,000席規模のアリーナについては、ポップスコンサートでの利用の可能性は少ないとののことで一致している。この規模のアリーナは全国的に少なく、ツアーを全国展開できない
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静岡市の認識(方向性)
  • 6,000~10,000席規模のアリーナではポップスコンサート等音楽興行が誘致可能
  • 5,000席規模のアリーナは、プロスポーツ利用の可能性が示唆されたが、音楽興行は1催事の収益性の点から施設利用の需要を見出すことは難しい
【需要想定】
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興行利用
  • 5,000席⇒4日
  • 7,000席⇒40日 
【単年度収支】
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  • 5,000席⇒▲36(百万円・赤字)
  • 7,000席⇒ 40(百万円・黒字)
> 静岡市駿府町地区文化・スポーツ施設立地可能性調査業務報告書
https://www.city.shizuoka.lg.jp/153_000099.html 



令和2(2020)年度調査(東静岡駅前が前提)

【(近隣の)類似施設の状況】
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コンサートは袋井市のエコパアリーナ(最大収容10,000人)がほぼ1強、豊橋の隣で最大収容7,600席浜松アリーナでさえ9割近くが市民利用で、音楽利用はほぼなし。

【市場調査】
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【音楽】
年間 30 公演を想定する意見や、45 公演程度を想定する意見
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アリーナ規模
多くの事業者からは、収益性の観点から大規模音楽イベント等の誘致を実現するため、10,000 席以上、8,000 席以上のキャパシティが必要という意見
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【今後の課題】
5,000 席程度のアリーナの場合、特に音楽等の一定のエンターテインメントイベントを誘致できるかが課題
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多くの事業者から、民設民営については柔軟性、採算性の向上から賛同する意見
> 静岡市アリーナ誘致関連調査業務報告書
https://www.city.shizuoka.lg.jp/153_000100.html#h2_11 



令和4年度調査(サウンディング)に向けたこれまでの取りまとめ
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【事業性について】
  • 音楽イベント6,500席程度(スポーツ観戦5,000席程度)⇒音楽興行では選ばれにくい
  • 音楽イベント8,000席程度(スポーツ観戦7,000席程度)⇒音楽興行で最も選ばれやすい
> 別紙1 静岡市のアリーナ誘致に向けた取り組みについて
https://www.city.shizuoka.lg.jp/153_000126.html 



一方、豊橋市の市場調査(中間報告書)はこのレベルです。
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  • 豊橋市の立地では、1万人規模のコンサートの実施は難しく、5,000 席が限界
  • コンサートツアーであれば1万人規模を集客できないと、採算上は厳しくなる
  • 1,500 人〜3,000 人規模のホールコンサートであれば実現可能性がある
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  • プロスポーツや大規模コンサート・ライブなどの場合、3,000 席~5,000 席の範囲の意見
予算質疑(冒頭のユーチューブ)のように、音楽需要が見込める5,000~10,000席は検討すらされませんでした。年間何日の需要が見込めるのか、も答えられません。

また「1,500 人〜3,000 人規模のホールコンサート」は、既にアイプラザで対応できていますし、前述の通り、アリーナでホールコンサートを受けるのは困難です。

すがるような追加のアンケート調査の「3,000 席~5,000 席の範囲」は、おそらく「プロスポーツ( ≒B
リーグ ≒三遠ネオフェニックス)」を念頭とされており、「"や"大規模コンサート・ライブ」は、前出の静岡市調査を踏まえれば、申し訳程度に付記された文言と思われます。

この豊橋市調査から読み取れることは、
「豊橋市では7,000~8,000規模のアリーナコンサートすら困難(「豊橋市の立地では(略)5,000席が限界」より)」ということでしょう。



浅井市長は、
「若者が魅力を感じるコンサート興行」
と現実から目を反らした甘言で強行していますが、
静岡市の調査を踏まえれば、5,000席では豊橋にコンサート来ません。
今でも7,000席の浜松アリーナにも来ないのです。

このままでは新アリーナ、豊橋市の負の遺産へ一直線です。
浅井市長、やめてください。

では。