豊橋市議の長坂です。
8月11日、豊橋市では4例の感染が公表されました。
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https://www.city.toyohashi.lg.jp/41805.htm より作成



さて、先月に最高裁判所の判断が示されたユニチカ跡地に関する住民訴訟、
弁護士費用の請求があったことが、市役所より情報提供ありました。
金額は、1億6726万1303円です。
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令和 2 年 8 月 11 日
ユニチカ損害賠償請求事件(住民訴訟)弁護団費用の請求について

ユニチカ損害賠償請求事件(住民訴訟)の控訴審判決が確定したことを受け、原告団代理人弁護士(福岡孝往)より、本日、弁護士費用の支払を市長に求める通知書が届いたので報告いたします。

 記

請求内容 地方自治法第 242 条の2第 12 項による当該住民訴訟にかかる弁護士報酬(着手金及び報酬金)

請求額 1 億 6726 万 1303 円
(確定したユニチカに対する請求額 26 億 318 万 8381 円より算出。令和2 年 8 月 8 日時点において算出した遅延損害金を含む。)

支払期限 通知到達後(令和 2 年 8 月 11 日)、10 日以内に指定口座に振込
また、8月9日付けの朝日新聞(朝刊)には、次のような記事がありました。
(なぜか地元3紙(中日・東愛知・東日)では、本件記事を見つけられませんでした。)
原告弁護団費用 市に負担要求へ
豊橋 ユニチカ跡地訴訟

(略)この判決決定を受け、原告団(団長・宮入興一愛知大名誉教授)は8日、原告団側の弁護士費用に当たる約1億7千万円の支払いを佐原市長に求めることを決めた。

(略)市が支払いに応じない場合、訴訟を起こす
以下、わかりやすいように「豊橋市(佐原市長)」と「佐原氏個人」と、言葉を使い分けます。



まず、この約1億7千万円の弁護士費用を支払う義務があるのかは誰か。

原告団の請求先は、佐原氏個人でなく、豊橋市(佐原市長)です。
つまり、税金からの支払いになります。

文書に記載の法律(地方自治法第 242 条の2第 12 項)には、次のように定められています。
12 第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士又は弁護士法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/
今回、原告団は勝訴(一部勝訴)しました。

つまり原告団(訴訟を提起した者)には、請求する権利があり、その請求先は「当該普通地方公共団体」である、豊橋市(佐原光一市長)です。



一方で、市民方々からは、
「豊橋市(佐原市長)でなく、佐原氏個人が払うべきでないのか」
との声も多く聞いております。

そもそも佐原市長は、
本来すべき、ユニチカ社への土地の返還請求を怠り、かつ、
「契約上ユニチカに対し1円たりとも請求権はない※」という、
結果として誤った主張を貫くため、控訴・上告をし、裁判を続けました。

「佐原市長は、市民利益のために動いていないのでないか」
というお声には、私も強く共感します。

しかしながら、あくまで豊橋市(佐原市長)が訴えられた裁判であり、
第一次的には、弁護士費用を支払う義務があるのは、豊橋市(佐原市長)です。



第二次的・間接的にでも、佐原氏個人が弁護士費用を支払う場合、
つまり、市長ではない佐原氏個人が責任を負うのは、どのような場合でしょうか。

これは、佐原氏個人が、市長として適切な職務の範囲を超えたり、
不当な利益を得るなどの事実が万が一にあり、
そのために、豊橋市に「弁護士費用の支払い」という損害を与えたことが、
客観的かつ違法性を以って証明できるときでしょう。

そして、この証明は、非常に非常に困難です。
少なくとも、新たな「証拠」などが出てこない限り。

しかしながらどこかに「大逆転」の可能性があるかもしませんので、
私ももう少し勉強をしてみたいと思います。



最後に「契約上ユニチカに対し1円たりとも請求権はない※」について。
こちらは「ユニチカ跡地住民訴訟弁護団声明」より引用させていただきました。

ひとりの市議会議員としても、考えさせられる文章であり、抜粋してご紹介させていただきます。
(太字下線などの強調は長坂)

過去の御一票を振り返り、今後の選挙権ご行使の参考になれば幸いです。
ユニチカ跡地住民訴訟弁護団声明
ユニチカ跡地住民訴訟最高裁決定を受けて~地方自治における住民と司法の役割

(略)

2 本件訴訟の経緯(略)

(3)豊橋市長の対応
 豊橋市長は、ユニチカ撤退に際し、上記「敷地の内使用計画を放棄した部分を豊橋市に返還する。」という契約条項につき、「豊橋市は、契約上ユニチカに対して1円たりとも請求権がない」という解釈を披瀝し、その主張を初期段階から最高裁に至るまで貫いた。

(略)

4 第一審判決の妥当性と控訴審判決の論理の破綻
(1)こうして見ると控訴審判決が第一審判決を変更した理由は「ユニチカに影響が大きい」からという点しかない。

 しかし影響が大きかろうが、本質的にはそのことは契約解釈の理由にはならないはずだ。

 この点は、第一審判決は、「本契約締結後あるいは本件協議書を取り交わした後においても、契約内容の見直しを求める機会はあったのであって、そのような具体的な行動に出なかった以上、本件契約や本件協議書の内容に拘束されることはやむを得ないという他ない。」とまさに正当に判示しているが、控訴審判決は、この第一審判決の判示に対し何ら説得的な反論をしていない。

(2)契約当時は、豊橋市は豊橋市議会の議決を経て契約をしているのであるから、契約を貫くことによる影響が大きいなら、豊橋市議会の議決を経た上で和解契約をすれば良かったのだ。

 例えば、市長がユニチカと交渉をした上で土地売却代金の一部を豊橋市に戻させるような妥協案を考え、それを豊橋市議会で議決するという方法はいつでもできた。かつて豊橋市と同じ時期にユニチカが進出した岡山県総社市では市議会と協議のうえ一部返還という解決をしている。

 しかし一部の人を除いて、多くの市会議員は豊橋市長の判断に異議を述べることなく、契約上豊橋市には何らの請求権もないという方向性(地裁の3人の裁判官、高裁の3人の裁判官、最高裁5人の裁判官の誰も採らない論理)での流れに身を委ねた

 市議会の議決があれば、いつでも交渉により和解的あるいは政治的決着をつけられたのに、その道を選ばなかったのなら、影響が大きかろうが契約に拘束されるのは当然で、契約の解釈にその影響を折り込む必要はない。

(3)このように、控訴審判決は、論理的に破綻している。最高裁が、この破綻した高裁判決を維持したことは遺憾である。
 最高裁は、終審裁判所として、契約解釈のあるべき姿を自らの言葉で判断すべきだったのであり、これを行わなかったのは、最高裁の怠惰であるという他ない。


5 地方自治における住民と司法の役割
 本件において、豊橋市長は、契約上ユニチカに対し1円たりとも請求権はないという主張を最初から最後まで貫いた

 そして、豊橋市議会の多くの構成員は、その市長の主張に議会で異を唱えることなく、また二元代表制の一翼を担うものとして、市議会の議決を経た上での政治的決着を指向することもなく、漫然と流れに身を委ねた。

 住民監査請求における4名の監査委員(長坂注:うち2名は市議会議員)も、豊橋市長の主張を追認することのみに囚われ、あるべき契約解釈に思いを致すことなく理由にならない理由で監査請求を棄却した。

 このように、本件では、住民自治(憲法92条)が、民主政のプロセスにおいて、機能不全に陥ったのである。

 そして、民主政のプロセスが機能不全に陥った時、司法は一歩前に出なければならない。その司法の職責を果たした第一審名古屋地方裁判所判決は、高く評価されるべきである。

 豊橋市長の誤った判断、その誤った判断に声を上げず、ただ傍観していた多くの豊橋市議会議員によって捨て去られようとしていた豊橋市ひいては豊橋市民の財産が、住民の努力により司法の場において回復した。

 本件はまさに、地方自治における民主政のプロセスの機能不全を住民が立ち上がり、司法の場で回復させた歴史的な事件である。

 そして、何より、自ら原告となり、本件を最高裁まで裁判を闘い抜いた、住民ひとりひとりに対し、弁護団一同、深い敬意を表するものである。

https://yunichika.jimdofree.com/ 
私からも、原告団及び弁護団のみなさま、大変にお疲れ様です。

では。