豊橋市議の長坂です。
オス鳥の派手な尾羽を説明する、ランナウェイ仮説というものがあります。

さて、来週月曜(2/4)に豊橋に来てくれる、友人のおときた都議がこんなツイートを。
「選挙カーを使わない選挙がしたい」「YouTubeを使って若者の投票率をあげたい」こういう方々(略)知らないで新しい挑戦をすることは、勇気ではなく無謀。
言いたいことはわかる。
でも言い方がわるい。

「自分たちも子育てで苦労したのだから、あなたたちも苦労しなさい」

と言う、前世代の人と同じに聞こえる。



その後、本人がブログも更新。
理不尽とも言えるほど長時間、駅に立ったり、後援会活動で個別でお宅を訪問したり、当選した後もお祭りや餅つきに足繁く通い…。

選挙の世界は「伝統芸能」と言われますが、一般の価値観からは遠く理解できないところで勝負が決まるものであります。

「選挙カーなんか意味ない」
「大事なのは政策の中身だ」
「ネットを使えば効率的、若い人に訴えかけたい」

という気持ちは死ぬほどよく分かるのですが、それで勝てるの?と言われれば極めて厳しいと言わざるを得ません。
仰る通りで「伝統芸能」≒「正攻法」なので、当選確率を上げるためには、そのやり方が最もらしい。

けれども「始発~終電コース」など、寒空酷暑の駅前に15時間以上も立ち続けたりすることを良しとするような「体力勝負」や「我慢大会」になっていることが、今、政治の世界で最も層が薄い、小さい子どもがいる女性などを立候補から遠ざけているのでは。



過去ブログにも書いたように、大阪府四條畷市が副市長を公募したら国内外から1700人の応募があったことが、選挙がなければ地方政治・行政に関わりたい人は山のようにいることを示しています。
地方政治や行政が魅力ない仕事なんてうそ - 愛知豊橋・長坂なおと のblog
http://nagasakanaoto.blog.jp/170719.html
ぼくもこの4年間で、立候補に興味がある何人かの相談に乗りました。

もちろんぼくだって、伝えられる拠り所は自分の経験しかありません。だから、それを元にした「正攻法」を伝えます。けれども、その「正攻法」をやらない人は立候補しちゃいけないなんてこと、全然ない。

「正攻法」をやらなかった有名人として、故・青島幸男 元都知事がいらっしゃいます。
参院選2期目以降は、選挙期間中に選挙公報作成と政見放送録画以外の選挙運動を一切せずに当選し続けたことなどが注目された
https://ja.wikipedia.org/wiki/青島幸男
適法の範囲内で、どんなことをやっても、あるいはやらなくても、当選は当選。
それが選挙。もちろん「超」有名人だからできたことです。



一方、多くの人は立候補するには、公務員の方は法律上、多くの民間企業でも仕事をやめないといけない。だから、ぼくだって相談を受けたら、立候補するからには「体力勝負」でも「我慢大会」でも、少しでも当選確率が上がる(と僕が思う)やり方を勧めます。

だからと言って御本人が「それはやりたくない」というのであれば、やらなくていいし「できる範囲」でよい。もちろん、それによって当選確率の上昇はたぶん鈍化するけれど、それがわかった上でなら。

医療関係者をはじめとする復職しやすい有資格者の方や、
「もし落ちたらうちに戻って来い」と送り出してくれる稀有な会社にお勤めの方なら、
「試しに」でも、立候補してみたらよいと思います。

そのくらい選挙の心的ハードルを下げていかないと、ますます成り手がいなくなる。
特に市町村議員選挙。「苦しい」選挙から「気軽に」立候補、にしないと未来が苦しくなる。

僕は子どもがいないので、想像でしかありませんが、
多くの方がされている子どもを得て、育てる、という決断が人生に及ぼす影響に比べたら、
落ちるかもしれない選挙に出る決断の方が、人生に及ぼす影響は小さいでしょう(復職できるなら)。



ぼくは前回のおときたの選挙を手伝っていました。

みなさんご存知のように「小池ゆりこブーム」でもあり、選挙前の情勢からもおときたは「当確」状態でした(選挙後のテレビ出演依頼とか来てたし)。

それでも、朝5時とか6時とかから駅立ちする(そしてぼくもそれに同行する)おときたを、「容赦ない…」と思うことも。「獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす」ということわざもあるので、油断せず全力で行くのは、大変よいことです、はい。

一方、選挙では「やばい、あいつあんなことやっている。私もやらなきゃ(負けちゃう)」と、なっていることもあるのは、事実でしょう。

「じゃあ選挙カーとか、みんないっしょにやめればいい(法律で規制すればいい)」

と思うかもしれません。脳内シミュレーションしてみましたが、おそらく選挙カーがNGになったら「じゃあ、歩いて/自転車で選挙運動だ!」と、より一層の体力勝負になる気がします。



翻って、豊橋市市議会議員選挙。
一方、4月には市議選(定数36)がある。今のところ、現職は28~30人、新人は7人が出馬の構えを見せている。
http://www.higashiaichi.co.jp/news/detail/4054
少し計算をしてみます。特に「現職は28~30人」のあたり
  • 現職28人+新人7人=35人 ⇒無投票
  • 現職29人+新人7人=36人 ⇒無投票
  • 現職30人+新人7人=37人 ⇒選挙
この記事からもうすぐ1ヶ月経ち、更に情勢が明らかになりつつあり、さすがに無投票はなさそうです。

「選挙だー!」ということなら心から全力投球できるのに、「もしかして無投票?」なんて声が聞こえると、節約志向が頭をもたげる。と、マクドナルドで隣の高校生が話していた気がします。

逆に、選挙に圧倒的に強い人、例えば安倍総理大臣も、麻生財務大臣も、小泉進次郎氏も、自分の選挙運動をほとんどしていないはずです。

だって選挙になれば、他候補の応援へ。
「落ちるかも」という人が、地元でめちゃがんばる。

安倍さんなんて選挙区が山口県です、麻生さんは福岡。
年に何日、地元にいると思います?

そして大臣や与党幹部になったりするのは、自分の選挙では落ちることなく、若い頃から何回も当選を重ね、他候補の応援に回って、党勢の拡大に貢献できる、生まれながらの政治家のような方々です。

だからチキンなぼくは、またひとり駅前に立つのです。

(お知らせ)
では!