豊橋市議の長坂です。
ひと昔前「A.I.」という映画がありました。

さて、先日こんなツイートが話題になりました。
 - Googleドキュメントを使った最速の文書作成法が発見される「その発想はなかった」「目から鱗」 - Togetter
https://togetter.com/li/1196518



「おおお、一度使ってみたい・・・」
と思っていた折り、ちょうどいい文書が公開されました。

ユニチカ跡地の住民訴訟、判決文の全文が、
原告団サイトに掲載されました。
https://yunichika.jimdo.com//名古屋地裁判決-全文/
さすがにこれを書き起こすのは、骨が折れるので、使ってみました。
180217_01
まさか「中国語」の様相。

1ページめは、弁護士名など漢字の固有名詞ばかりだったからでしょうか・・・
グーグル先生、まだまだ発展途上です。

2ページめ以降はそれなりの様子。
180217_02
判決文は、以下の構成になっているので、下線の要所
争点」と「争点(返還義務の存否)に関する判断」を抜粋します。
第1 請求(p2)

第2 事案の概要(p2)
 2 前提事実(p2)
 (1)当事者等(p2)
 (2)補助参加人(※ユニチカ社)が本件各土地を取得、利用した経緯等(p3)
 (3)本件売却土地の売却等(p4)
 (4)監査請求及び本件訴えの提起(p4)
 3 争点及び当時者等の主張(p5)
 (1)争点(p5)
 (2)当事者等の主張(p5)
  ア 原告らの主張(p5)
  イ 被告(※市長)の主張(p9)
  ウ 補助参加人(※ユニチカ社)の主張(p10)

第3 当裁判所の判断(p12)
 1 認定事実(p12)
 2 争点(返還義務の存否)に関する判断(p16)

第4 結論(p21)


第2 事実の概要
 3(1)争点(p5)
180217_03
該当箇所を転載。
3 争点及び当事者等の主張
]争点 本件の争点は、本件売却土地が売却された時点において、補助参加人が、本件要 約上, 豊橋市に対して本件売却土地を返還する陸務(以下、単に「返還義務」とい う。)を負っていたか否かである。
まだまだ粗が大きいので、天然知能で修正しました(下線太字部分)。
3 争点及び当事者等の主張
(1)争点
本件の争点は本件売却土地が売却された時点において補助参加人が本件約上豊橋市に対して本件売却土地を返還する務(以下単に「返還義務」という。)を負っていたか否かである。
余談ですが、判決文って句読点「、」でなく、全角コンマ「,」を使う文化なんですね。
以後、この点の修正はなし、そのままとします。



続いて、
第3 当裁判所の判断
 2 争点(返還義務の存否)に関する判断(p16)

結論から申せば、数字やカッコの全角/半角の別と、挿入される半角スペース以外の読み込みミス(主に漢字ミス)は、10もないほどでした。すごい!

長いので、訂正後の文書のみです。
 2 争点(返還義務の存否)に関する判断
 (1)ア 上認定事実によれば、本件においては、補助参加人が豊橋事業所を閉鎖することに伴って、本件売却土地の全部が使用されなくなり、かつ、補助参加人は、遅くとも平成2712日における事業所等廃止申告書の提出の時点で、本件売却土地を使用する計画を放棄する旨の意思表示を豊橋市に対してしたものと認めるのが相当である。そうすると、本件協議書の内容(補助参加人による使用計画の放棄の意思表示を必要とするもの)を踏まえたとしても、補助参加人が本件売却士地を使用する計画を自ら放棄したという本件契約12条の要件は満たされるものと解すべきである。
  • 「遅くとも平成27年3月12日における事業所等廃止申告書の提出の時点で、本件売却土地を使用する計画を放棄する旨の意思表示を豊橋市に対してしたものと認めるのが相当」

 イ そこで、次に問題となるのは、本件契約12条に基づく返還義務は、補助参加人が対象土地の全部を使用しなくなった場合にも生ずるかという点である。
 () この点に関し、本件契約12条(この基礎となった本件覚書13条も同様である。)においては、本件各土地のうち使用計画が放棄された「部分」を返還するという定めがされているところ、対象土地の全部につき使用計画が放棄された場合であっても、返還対象となる「部分」が対象土地のうちの全部であるという理解をすることは可能であるから、文理上、本件契約12条が、対象土地の全部の使用計画が放棄された場合を排除しているとは解されない(なお、一般に、法令上、「部分」という文言が使われる場合には、その「部分」は必ずしも対象の一部に限定されるものではなく、対象の全部をも含む趣旨で使われることもあるのであって(民法550条ただし書等)、「・・・のうち、・・・の部分」というような文言が使われているからといって、対象の全部が該当する場合を排除しているとは解されない。)。

 () そして、実質的に考えても、本件契約の締結に至る経等にみると、本件契約12条は、工場誘致政策の関係で、本件各土地に関し、豊橋市が税制面も含めた種々の便宜供与を行う必要があった一方で、早期に上記政策を遂行することが優先されて使用計画が確定しないまま本件契約を締結せざるを得なかったために、一本件契約を締結した上で、不要となった部分については便宜供与の対象としたままとはせずに速やかに豊橋市に返還するということを念頭に設けられたと理解されるところ、この趣旨が、対象土地の一部について使用計画が放棄された場合にのみ妥当し、対象土地の全部について使用計画が放棄された場合に妥当しないという理由も見当たらない。かえって、対象土地の全部の使用計画が放棄された場合に本件契約12条が適用されないと解すると、対象土地の一部についてのみ使用計画が放棄された場合には、補助参加人はその一部を豊橋市に返還しなければならず、第三者に土地を転売するなどして利益を得ることは本件契約12条に違反し許されないにもかかわらず、全部について使用計画が放棄された場合には、返還義務がないために第三者への転売等も妨げられないという帰結となり、一部放棄の場合よりも全部放棄の場合の方が補助参加人に有利すなわち豊橋市に不利となる。しかし、橋市としては、工場踏致の一環であったからこそ本件各土地の無償提供を始めとする様々な便宜供与をしたものである以上、工場としての使用が全面的にされなくなった場合に、一部放棄の場合には生じないような利益を補助参加人に与えなければならない合理的な理由は一切ないのであって、上記の帰結は、単に均衡を失するばかりでなく、契約当事者の合理的意思にも反しているというほかない。なお、本件契約締結後、補助参加人の豊橋事業所のために多くの雇用が生み出され、豊橋市の税収等にも継続的な貢献がされた点を前提としても、使用計画の全部放棄の場合の方が一部放棄の場合よりも補助参加人に有利な帰結となることが不合理であることに変わりはないから、上記の点は、判断を左右しない。

 (ウ) このように、文理上、対象土地の使用計画の全部放棄の場合が排除されていると解することはできず、実質的に考えても、全部放棄の場合を除外して考えることは不合理な帰結を招くのであるから、全部放棄の場合にも、補助参加人は、本件契約12条に基づく返還義務を負うものと解すべきである(なお、上記返還義務は飽くまで本件契約12条に基づく債権的な義務であるから、豊橋市に本件売却土地の所有権が属したことがないことは、義務の消長とは関連がない。)
  • 「対象土地の全部につき使用計画が放棄された場合であっても、返還対象となる「部分」が対象土地のうちの全部であるという理解をすることは可能」
  • 「豊橋市としては、工場踏致の一環であったからこそ本件各土地の無償提供を始めとする様々な便宜供与をしたものである以上、工場としての使用が全面的にされなくなった場合に、一部放棄の場合には生じないような利益を補助参加人に与えなければならない合理的な理由は一切ない」
  • 「上記返還義務は飽くまで本件契約12条に基づく債権的な義務であるから、豊橋市に本件売却土地の所有権が帰属したことがないことは、義務の消長とは関連がない。」

 ウ そして、補助参加人が、上記イに述べた返還義務を負うにもかかわらず、目的物である本件売却土地を、自己及び当時の連結子会社において、返還すべき相手方と異なる第三者に売却し、これにより返還義務の履行を確定的に不能とさせた行為(前記前提事実(3))は、豊橋市の権利又は法律上保護される利益を侵害するものであって、不法行為に該当すると認められるから、補助参加人は、豊橋市に対し、損害賠償として、本件売却土地の売却代金相当額63億円及びこれに対する不法行為の日(本件売却土地の所有権移転登記がされ、返還義務が履行不能となった日)である平成2710日から支払済みまで民法所定の年分の割合による遅延損害金を支払うべき義務を負っているといえるから、原告らの請求は全部理由がある(したがって、補助参加人の債務不履行責任については、判断することを要しない。)。
  • 「原告らの請求は全部理由がある」

(2) 被告の主長について
 ア 被告は、本件契約締結当時、補助参加人が豊橋事業所を全面閉鎖して本件各土地から全面撤退することは想定されていなかったと主張する。しかし、使用計画の全部放棄が想定されていなかったという事実は、全部放棄の場合をあえて除外する趣旨で本件契約12条の合意に至ったとすることとはむしろ矛盾するのであって、被告の主張は、上記の判断を左右するには至らない。
 なお、被告は、使用計画の全部放棄が想定されていたとすれば、豊橋市において何らかの保全措置が講じられたはずであるとも主張するが、当裁判所は、必ずしも上記のような想定がされていたという前提を採るものではない(全部放棄の場合をあえて除外する趣旨ではないと認めるにとどまるものである。)から、被告の指摘する点は判断に影響しない。また、本件において問題となっているのは飽くまで本件契約の解釈であるから、豊橋市が当事者となっていない別件覚書(補助参加人と総社市等との間で取り交わされたもの)の文言との比較などによって、判断が左右されるものではない。

 イ また、被告は、少なくとも本件協議書が取り交わされた後は、本件契約12 条に基づく返還義務は存在しないなどとも主張する。
 この点に関し、まず、本件協議書はその文言上も飽くまで本契約の趣旨を再確認したものと位置付けられている(なお、豊橋市の担当者も、後に、本件協議書により新たな権利義務が設定されるものではないという理解を述べているところである(証拠(甲14)により認められる。)。)のであって、本件契約と本件協議書が実質的に異なる意味内容を定めていると解釈すること自体にそもそも無理がある。そして、具体的に本件約や本件協議書の文言に即して検討してみても、本件契約12条の「放棄」という文言は、補助参加人側からの使用をしない旨の明示又は黙示の意思表示があることを前提にしていると解し得るのであって信託法99、183項等参照)、本件協議書は、飽くまで本件契約12条の内容を明確化したものにとどまると解するのが自然である。なお、対象土地を使用しないことに関する意思表示が補助参加人によってされる必要があるということと、そうした意思表示がされた場合に豊橋市から返還を求められるということは、何ら矛盾するものではない。
 さらに、被告が主張するように、本件協議書が取り交わされたのと同じ時期に、昭和41年覚書が取り交わされ、その中で鉄道引込線をめぐる費用負担に関して本件契約よりも補助参加人に不利な合意がされた事実は認められるものの、昭和41年覚書が、上記費用負担等に関して豊橋市が図っている便宜が過大であるという批判を受けて取り交わされた経緯からすれば、豊橋市が、同じ会にあえて本件契約よりも補助参加人の便宜を図るような内容の協議書を取り交わすことは考え難いのであって、被告が主張する点は、本件協議書の解釈には影響しない。なお、鉄道引込線については、補助参加人の専用に係るものでありながら、元々豊橋市によって、補助参加人には特段の負担が生じない形で、無償の便宜供与がされていたことにみれば、豊橋市が市議会等の意向を受けて費用負担を求めるなどした場合に、補助参加人が何の見返りもないのにこれを了承することが不自然であるとまではいえない。
 加えて、被告は、別紙物件目録記載及び10の各土地の売買をもって、本件契約12条に基づく返還務が存在しないことの根拠としているが、上記各土地は下水道事業のために豊橋市に売却されたものであるから、その状況からして、補助参加人が自ら使用計画を放棄したとは認められない。したがって、上記各土地の売買は、本件契約12条が問題となる場面には当たらないので、被告の主張は採用することができない。
  • 「本件契約と本件協議書が実質的に異なる意味内容を定めていると解釈すること自体にそもそも無理がある」

 ウ 被告は、平成18月における早川勝豊橋市長の答弁を援用するが、上記答弁は、飽くまでも補助参加人の分社化の場合を念頭に、返還請求が法的に離しいという検討結果を述べたにとどまり、本件のように第三者に対象土地が売却された場面とは異なる場面についてのものである上、上記答弁においては、全く別の企業が対象土地を使用する場合には返還請求が可能であることも示唆されていたものであるから、上記答弁も本件判断を左右するものではない。
  • 「全く別の企業が対象土地を使用する場合には返還請求が可能であることも示唆されていたものであるから、上記答弁も本件判断を左右するものではない」

(3) 補助参加人の主張について
 ア 補助参加人は、第工場が完成した昭和43年の時点で、本件各土地のうち使用計画を放棄する部分はなくなったため、それ以降、本件契約12条の適用の余地はないと主張するところ、いずれにせよ本件各土地の一部又は全部が工場用地として使用されなくなれば、豊橋市が補助参加人に無償提供をする合理的な理由がなくなることに変わりはないため、一旦使用するようになったがその後使用を中止して使用計画を放棄した場合と、そもそも当初から一切使用しない場合とを区別する合理的な理由はないから、補助参加人の主張は採用することができない。
  • 「いずれにせよ本件各土地の一部又は全部が工場用地として使用されなくなれば、豊橋市が補助参加人に無償提供をする合理的な理由がなくなることに変わりはない」

 イ また、補助参加人は、合理的期間が経過すれば本件契約12条は無効となると解すべきである旨主張するが、本件協議書において、本件契約12条には期限がないことが明示的に確認されている状況の下で、補助参加人が主張するような法的効果を導く具体的根拠は見当たらない。この点に関し、補助参加人において、長期間にわたって豊橋市の財政等に貢献してきた事情があるにせよ、それをもって、本件契約に係る条項が一定期間経過後に当然に失効するとまで解することは到底できない。補助参加人としては、本件契約締結後あるいは本件協議書を取り交わした後においても、契約内容の見直しを求める機会はあったのであって、そのような具体的な行動に出なかった以上、本件契約や本件協議書の内容に拘束されることはやむを得ないというほかない。また、補助参加人は本件各土地を無償で取得したのであるから、それらを使用しなくなった場合に豊橋市に返還しなければならないとしても、補助参加人の財産権や営業の自由が不当に害されているなどとは評価し難い。
  • 「本件契約に係る条項が一定期間経過後に当然に失効するとまで解することは到底できない。」
  • 「補助参加人は本件各土地を無償で取得したのであるから、それらを使用しなくなった場合に豊橋市に返還しなければならないとしても、補助参加人の財産権や営業の自由が不当に害されているなどとは評価し難い。」

 ウ さらに、補助参加人は、買戻しの特約に係る期間制限に関する民法580条の法意をも問題とするが、そもそも、本件契約は、本件各土地の所有権を補助参加人に無償で移転する内容の契約であるから、有償契約である売買契約とは性質を大きく異にしており、売買を前提とした民法580条の類推適用等をする前提を欠いているというべきである。すなわち、有償で所有権を取得した者が買戻権を行使され得るという不安定な地位に長期間置かれるのを防ぎ、もって取得者を保護すべき要請があるとしても、本件のように、無償で土地を取得した者がその利用を終えた時に土地を無償で返還することになることが想定される場合において、有償で取得した者と同様に取得者を保護しなければならない要請が働くとまではいえない。
  • 「そもそも、本件契約は、本件各土地の所有権を補助参加人に無償で移転する内容の契約であるから、有償契約である売買契約とは性質を大きく異にしており、売買を前提とした民法580条の類推適用等をする前提を欠いているというべきである。」


「全面勝訴」と聞いていましたが、本当に「全面勝訴」。
「はい論破」というネット用語がありますが、本当に裁判官に尽く論破されています。

AIによって法律家の仕事もなくなる

という議論もありますが、まだAIは、
控訴についての助言まではしてくれませんでした。
A. I. (字幕版)
ハーレイ・ジョエル・オスメント
2014-01-01

では。

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