豊橋市議の長坂です。
「市民ファーストの会」でなく「豊橋だいすき会」です。

さて、多くの方がご存知のように、
小池都知事の古巣「東京10区(豊島区など)」を受け継いだ
若狭衆議院議員が「日本ファーストの会」を設立しました。
記者会見によると読みは「にっぽんファーストの会」だそうです。

この日本ファーストの会、現在では「長坂なおと後援会」と同じ「政治団体」に過ぎません。

今後、国政政党になるかもしれませんが、
若狭議員ご本人が、早速、実質的な否定をされています。
新党の名称ではありません。日本ファーストは|若狭勝
これは、あくまで「輝照塾」という政治塾を運営する政治団体の名称であって、将来設立される新党の名称ではありません

新党の名称は、全く別の国民の皆様に親しみをもって呼んでいただける名称にしなければならないと思っております。
http://blogos.com/outline/239426/


7月3日(日)の都議選後に、
小池都知事が「国民ファースト」という言葉を漏らしてから、
国政新党のコードネーム的に「国民ファースト」という名前が定着しかかっていました。

この「国民ファースト」でない理由については、若狭さんご本人が、
記者会見において、既存の政治団体があることを理由に上げており、
実際にそのようであることが、7月6日に既に報じられています。
ここから私見を強めて参ります。

「国民ファースト」にしても「日本ファースト」にしても、
「都民ファースト」を受けての言葉であることは明らかです。

では、この「都民ファースト」の意味するところは?
どういう背景で出てきた言葉なのか。

私の認識では、昨2016年7月の都知事選において、
小池さんの演説から出てきた言葉だと思っていますが、
辿れる限りの初出は2016年7月31日、
都知事選の当選を受けてのインタビューでした。
【都知事選】小池百合子氏「議会と連携」「不信任は難しい」 対決姿勢を一転(BuzzFeed Japan) - Yahoo!ニュース

議会からの不信任決議がないと解散できないことに触れ、「決議は現実的ではない」と解散を事実上否定。「都民ファーストで議会と連携したい」と繰り返した。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160731-00010002-bfj-pol
この後から「都民ファースト」という言葉が頻出するようになります。
こちらは就任直後の8月30日に更新された東京都庁サイトの都知事挨拶。
この度、東京都知事に就任いたしました小池百合子です。

都民が決める。都民と進める。これが私の目指す都政の姿であります。常に都民ファーストで、透明性を高め、皆様の理解を得ながら「都民の、都民による、都民のための都政」を行ってまいります。

小池知事 新しい東京を目指して|東京都 http://www.koho.metro.tokyo.jp/2016/09/governor.html
こちらも都知事選1ヶ月後の記者会見です。
記事のタイトルにもなっています。
築地市場問題で小池都知事会見(1)「都民ファーストの視点から、3つの疑問点」 - SankeiBiz(サンケイビズ)

延期の決断に至りました理由ですが、かねてより私は『都民ファースト』という言葉を繰りかえし述べてまいりました
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160831/mca1608311556011-n1.htm
1ヶ月ほどで「かねてより」「繰りかえし」としてしまう
小池さんのセルフプロデュース、おそるべし。

ちなみに「都民ファースト」の元ネタを「アメリカ・ファースト」とする人もいますが、
ぼくは、オリパラ関係で小池さんがよく口にしていた「アスリート・ファースト」由来ではないかなと思います。



そして少しさかのぼり、7月6日の実質的な出馬会見にて、
小池さんは次のように仰っていました。
なぜここ2代、猪瀬直樹さん、舛添要一さん、短期間で知事が替わってきたのか(略)つまり、誰かにとって都合が悪い、もしくは不都合なときに捨てられるということが続いてきたように思う。(略)

なんでも都合のいいようにやってくれるリーダーが都政に必要なのかというと、私は違うと思う(略)東京では都民のための都政を取り戻すことが、今こそ必要だと考えている。(略)

そこで、まず3つお伝えしたい。いきなりですが、都民目線の信頼を回復するために、都議会を冒頭解散したいと思う。よく分裂選挙といわれるが、分裂は都議会自民党と都民との間の分裂ではないかと思う。民心が離れては都民に寄り添った温かい政策は遂行されない。都民の声を聞いてみましょう。(略)

それから2つめだが、利権追及チームということだ。単にオリンピック・パラリンピック絡みだけではない。財源が豊富な東京都においてはさまざまな利権が発生するが、それを一つ一つチェックしていくのも、都民の信頼をもう一度取り戻すという意味では重要なことだ。(略)

3番目、舛添さんの問題だが、第三者の厳しい目とおっしゃっていた。これについても公私混同の問題については、もう一度チェックをする必要があると思うので、これは改めて舛添さんが任命するのではない第三者の委員会を設置することが必要だ。本来はこれは議会の役目だ。これについては、都民の信頼を取り戻すという意味で、3番目にアイテムとして挙げさせていただいた。
http://www.sankei.com/premium/news/160706/prm1607060006-n4.html
つまり、ぼくの解釈では「都民ファースト」の言葉が力を得るには、
そもそもこれまでは「都民でない何かがファーストだった」という共通認識が必要で、

都民旧い都議会・利権・業界団体・公私混同

という暗黙の対立軸が、
それまでに醸成されていたからこそ、
活きた言葉になりました。



先月の東京都議選の応援から豊橋に帰り、とある方から
「長坂さん、もしかして「市民ファーストの会」とか名前変えたりするんですか?」
と質問されましたが、明確に否定しました。

なぜなら豊橋で「市民ファースト」と掲げても、共感を得られないと僕は思います。
だって、ぼくらが市民ファーストであるのは当たり前だから。

しかし、東京ではその「当たり前」が機能している信頼が得られていなかった。
だから、この言葉が力を持った。



一方で、「日本ファースト」。
先ほどと同じように対立軸を考えると、

日本 ⇔ 海外・外国

にしかならない。
だから「日本ファースト」では、
こういうツイートが大きな共感を得てしまう。
今の日本は「アメリカ・ファースト」のような「日本ファースト」が、
アメリカ国内ほどの共感を得られる状態ではなさそうです。

「都民ファースト」の重要なポイントとして、決して
都民(東京) ⇔ 地方
という対立軸ではなかった。

もし「都民ファースト」が「東京ファースト」であれば、
きっと共感は得られていなかった。

このあたり小池さんの言葉選びのセンスは、
さすがだと思います。



では「国民ファースト」

これなら共感を得られるのかと言えば、
ぼくは疑問符がつきます。

確かに今、政府の支持率が下がっており、
国の政治にも、不満が蔓延している空気はありますが、
先ほどの

都民 ⇔ 旧い都議会・利権・業界団体・公私混同

のような構図での受け皿に「国民」という言葉が
なれるかと言えば、ぼくの感覚ではそうでない。

というより「国民」という言葉自体が、
あまり馴染みのない言葉、どこか政治っぽい言葉であり、
また「日本ファースト」と同様にナショナリズムが漂う言葉です。

端的に言えば、「国民のみなさん」と言われても、
自分のことを言われている気がしない。



じゃあどんな言葉ならいいのか、って僕の中で
1周回って出てきたのが「市民ファースト」でした。

この「市民」は「都民・県民・市民・町民・村民」
という並びの「市民」でなく、もっと広い意味での、
「小市民」や「市民権」の「市民」、
英語なら「シチズン」という意味での「市民」です。

この「市民」なら、

市民 ⇔ 旧い政治・利権・業界団体・公私混同

という対立軸が成立する(気がする)



都政が「都民」だから、
国政だったら「国民」っていうのは、
あまりにお役所的な言葉感覚。

逆に国政だからこそ、
「市民ファースト」
が光ると思うのですが、いかがでしょう?

豊橋で「市民ファースト」ではピンと来ないのに・・・
言葉って不思議です。

では!