豊橋市議の長坂です。
私立学校に通ったことがありません。

さて、年末だというのにこんなニュースが飛び込んできました 。
東京都の小池百合子知事が、教育機会の平等化のため私立高校の授業料の実質無償化を検討していることがわかった。

世帯年収910万円未満を対象に、都内の私立高の平均授業料の年44万円を国と都で肩代わりする案を軸に、新年度予算に都独自の上乗せ分として新たに約140億円を計上する方針

庁内には慎重論もあるが、小池都政の目玉にしたい考えだ。
http://www.asahi.com/articles/ASJDX04CNJDWUTIL04T.html
年末だというのに・・・情報を出すタイミングが上手ですね。

東京都の上乗せ分が約140億円ということで、仮に国と都で半分半分だとすると、合計280億円。
44万円で割ると、約6.4万人分になります。

東京都の学校基本調査によると、平成27年度の高校生徒数は約31.7万人で、そのうち私立高校生は17.6万人ということです。

こちらは、東京都の高校に通っている高校生数のため都外から通う生徒(=都民でない生徒)も含まれるので、東京都の15~17歳人口も確認したところ、3学年で約30.5万人と大きな差はなかったので、差し引きほぼゼロと考えてよさそうです。

17.6万人のうちの6.4万人となると、およそ3分の1強しかカバーできていないことになります。

残り3分の2は世帯年収が910万を超える家庭なのか、どういう試算なのかわかりませんが、いずれにしてもすごいことです。

今回上乗せする140億円は、東京都の予算は年間約7兆円(一般会計)のため約0.2%に相当します。
豊橋市だと年間1200億円のため、2.4億円に相当します。 え、すごい・・・

都道府県と市町村なので、簡単に比べられませんがなかなかの金額ですよこれ。
ちなみに豊橋市の平成28年度予算では、「私学振興事業費」が4500万円です。



なぜ、東京都がこんな大盤振る舞いができるかと言いますと、お金持ちだからです。
東京都は47都道府県の中で、唯一、国からの地方交付税を受け取れない「不交付団体」です。

東京オリンピック・・・個人的には福岡や仙台(東北)オリンピックになることを期待していたわけですが、
ただいまの五輪のお金にまつわるドタバタを見ていると、もう日本で「まだしも」五輪が開催できそうな都市は東京しかなさそうです。

ぜひとも東京都におかれましては、都税の範囲に収まるワイズスペンディングな五輪開催を期待して止みません。



話戻って、以前こんなブログを書きました。
126億で5,000人…東京都が本気出して来た地方はもっと焦るべき - 愛知豊橋・長坂なおと のblog 

多くの人にとって、東京に対する地方の優位性なんて、子育てを中心とした生活環境くらいです。
(逆に言えば、子育て・生活環境は住む場所を決めるのに、めちゃめちゃ大事なことです)

もし、東京が子育てもしやすいまちになったら、本当に地方は消滅する…そのくらいの危機感を持った方がよい出来事です。
http://nagasakanaoto.blog.jp/160909.html
今回の授業料助成が、東京都の高校に「通う」高校生が対象なのか、東京都に「住む」高校生が対象なのかわかりませんが、もし後者ならば、まずは近隣自治体の神奈川・千葉・埼玉に住む人が東京都に引っ越しますます東京一極集中が進むことでしょう。

年間44万円ってなかなかの金額ですよこれ。

地方議員としてのポジショントークをさせてもらえば、東京はいつまでも、働くことに対して高度に合理化された「住みにくい」「子育てしにくい」まちでいてもらいたいものです。 

いやこれホントやばいよ地方。
批判されないだろうけど、とてもわかりやすい現金バラマキだし。



ここから先は政局的な話として。
年末に小池さんが、都議会からの「復活予算」を廃止にして話題になりました。

復活予算については、都議のおときた駿が小池知事前から何度もブログに書いていたため、
私も人よりは先に知っていたのですが、昨年10月にこんな記事をアップしていました。
予定調和な出来レース?都政と都議会のブラックボックス「復活予算要望」のやり方を改めよう

東京都生活文化局の予算に計上されている「私学振興助成金」を形成過程を見てみましょう。

毎年この予算編成の時期になると、まず東京都の各局が「局要望」という形で財務局に対して予算案を提示します。

その際に財務局は、この私学振興助成金の項目については数十億円を削ってきます。満額回答をしないわけですね。

これでは私学振興拡充大会の要望を満たすことができません。ではどうするか?

そこで登場するのが、予算編成における議会の「復活予算要望」枠です。東京都には予算編成の終盤、議会からの要望でつけられる予算が200億円あります。(略)
 
で、この復活予算要望において、私学振興助成金のマイナス分が補填され、年によっては当初の局要望にプラスされて終わるわけですね。

これをもって議会側は「実現しました!」と主張し大円団となるのですが…

局予算要望が削られる
議会が復活予算要望を提出
満額回答

という流れは、まったく同じ形で長年続いています。少なくとも遡って調べる限りでは、過去5年間は復活する項目までほとんど一緒です。

ここについては私もかねてから疑問を呈しておりますが、そう感じている議員は決して私だけではなく、やながせ都議もこの復活予算要望の存在そのものとプロセスに強い疑念を示しています。
http://otokitashun.com/blog/togikai/13105/ 
しかしながら今や、この復活要望は形骸化しているのではないかという説もあります。
つまり、復活する項目なんて事前に与党と行政の側で決まっていて、形だけ行ってハイ終わり!
それをもって与党の政治家たちは

我が党(会派)の予算要求の通り、〇〇の予算を復活させて確保しました!

なんてアピールに使う…(これを通称「あれ俺サギ」という。あれは俺が実現した、の意)。

 - 茶番か、儀式か?それともはたまた…。「復活予算要望」枠200億円を、ゼロ円で要望してみました
http://otokitashun.com/blog/togikai/5824/
つまりこれまで復活予算という制度の元、「私学振興助成金」が、(主に与党の)都議会議員の成果=アピール材料にされてきたわけですが、小池さんはそれを廃止し、(主に与党の)都議会議員の支持の源泉を骨抜きに。

その一方で、私学に通う生徒ご家庭向けにそれ以上の弾を放ち、支持をこちらに向かせる・・・と。

おそろしい、というかこれが政治なんですね。 



安倍センセー、大村センセー、
小池さんのせいで東京一極集中が進まないよう、大学生への奨学金だけでなく、
地方の高校生への手厚い予算配分をお願いいたします。

もちろん私立だけでなく公立高校にも。

では!


<参考>
 - 住民基本台帳による東京都の世帯と人口 平成27年1月
 http://www.toukei.metro.tokyo.jp/juukiy/2015/jy15000001.htm
 - 平成27年度 学校基本統計(学校基本調査の結果)
 http://www.toukei.metro.tokyo.jp/gakkou/2015/gk15qg10000.htm