豊橋市議の長坂です。
ごはんを最後の一粒までつつくタイプです。

11月28日より豊橋市議会12月の定例会が、通常よりも1週間ほど早くはじまりました。
なぜ、通常より早まったのか。それは、豊橋市長選挙があったからです。 

ぼく自身はじめての経験ですが、慣例的に市長選挙明け初めての市議会(定例会)では、所信表明をするようです。

所信表明とは?
所信表明演説(しょしんひょうめいえんぜつ)とは、政府の長が自分の考え(所信)を述べる演説である。(略)

日本の国会の場合は内閣総理大臣が本会議場で行う演説や、国務大臣が委員会の冒頭で演説するものを指すが、前者のほうがよく知られている(略)。

所信表明演説では、内閣総理大臣個人の所信として、国政についての方針や重点課題を説明する。議席を持つ各会派は所信表明演説に対して後日代表者1名が代表質問(一般質問)を行う。
https://ja.wikipedia.org/wiki/所信表明演説 
「初心貫徹」の初心との勘違いで、「はじめてじゃないのに?」と言われることがありますが、所信=思う(信じる)ところ、を述べる「所信」表明です。

豊橋市議会でも、通常年に1回・毎年3月の定例会で、「予算大綱説明」に合わせて所信表明がされます。



さて、「市長選挙後はじめての議会だから」というわけで、毎年よりも1回多めに開かれた所信表明。

どんな新しい発言が飛び出すのかと、ワクワクして聞いていたのですが・・・結論として、目新しい点はありませんでした。

しかし、それで終わっては申し訳ないので、重箱の隅をつつくほどに細かい字句まで目を向けて、ご紹介いたします。



まず、僕がもっとも注目したのはこの言葉。
また、豊橋独自の大学生への給付型奨学金の導入などにも取り組みます。
選挙前の10月に発表された文書では、「大学生への給付型奨学金を導入します」でしたので、「豊橋独自の」という言葉が入り、今、国で議論されている施策ではないことが明確になりました。



次、
避難情報の的確な伝達手段の構築
この言葉、政策提言の中にはなかったんですよ。

先日、豊橋の津波浸水想定エリアについて記事を書いたところ、こんなコメントをいただきました。
神野新田在住ですが、認識してます。
ですが、緊急地震速報のスピーカーは屋外にいても、全く聞こえません(略)
近所の住民も夕方5時に市内一斉に鳴る音楽があることすら知らない人がほとんどです。
ゆえにスピーカーの必要性をあまり気づいていません。
人の住んでいる所に公平に緊急地震速報を伝えてほしいと思います。
こちら、防災危機管理課に共有しましたが・・・、急だしさすがに…偶然でしょう。
(この文言が入ったの僕の「手柄」だったらいいなぁ)



次、
スポーツを生かしたまちづくりをさらに進める環境の整備
政策提言にはあった「第2アリーナ」の文言がなくなった・・・、トーンダウン?



次、
映画オリンピック・パラリンピックを通じたプロモーションやスポーツ・文化交流を展開
豊橋市にとっては、文字通りオリパラよりも映画が先というのが滲み出ている味わい深い文章です。



次、
私たちのまち豊橋にとっても、ほの国東三河にとっても、 
以前、まだ議員になる前にこんなブログを書きました。
コピーについて~ 「ほの国」 と 「ええじゃないか」 - 愛知豊橋・長坂なおと のblog 
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少し外の人から見たら、「ちぐはぐ感」があるのも頷ける。

広域(東三河)のこと ⇒ ほの国 / 豊橋のこと ⇒ ええじゃないか
◎ 静的なもの(場所の名前など) ⇒ ほの国 / 動的なもの(イベントの名前など) ⇒ ええじゃないか

など、 使い分けやルールなどを決めればいいのに、それがないので・・・
http://nagasakanaoto.blog.jp/140318.html
これは、ほの国=東三河(豊橋単体に使う言葉ではない)と、使い分けがされるようになった、ということでOKですか?



次、
本市産業の活力へとつなげていくため、産学官金労の五本の矢を一つに束ね、
「産学官金労」で検索してもらうとわかりますが、このフレーズは「産学官金労言」という6文字で使われるのが多いようです。 「言」は、マスメディアや言論界を意味します。

地方創生的な文脈で使われているのなら、官邸資料にもありますし、なおさらです。
地方公共団体に限らず、住民代表に加え、産業界・大学・金融機関・労働団体・マスメディア(産官学金労)の連携を

 - まち・ひと・しごと創生総合戦略 2015(改訂版)(案) 
 (PDF)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/souseikaigi/h27-12-18-siryou1.pdf
これは敢えて「言」を外したのか、もしそうだとしたらその意図はなんなのか・・・

うーん、メディアともきちっと連携した方がいいと思うけどなー。



そして最後、このあたり個別具体の名称などが出てきているのは、佐原市長的な「目玉(独自)政策」」ということかと。
  • メイカーズ・ラボ
  • 新たな農業教育機関の設置
  • 自動車のまちづくり
  • 小中一貫教育
  • 「英語のできる豊橋っ子」
  • 豊橋独自の大学生への給付型奨学金の導入
  • 「道の駅」
  • 映画やオリンピック・パラリンピックを通じたプロモーション
  • 結婚・出産・子育ての一貫したサポート体制
  • 保育料の軽減
  • 家族の絆を深める三世代同居や近居の促進
  • 障害者の教育や就労支援
  • 健康マイレージ事業
  • 市民病院における高度先進医療の整備
  • 津波防災センターの整備
  • 消防団や災害医療体制の強化
  • 避難情報の的確な伝達手段の構築
  • 立地適正化計画の策定
  • まちなか図書館
  • 萱町通り・水上ビルのストリートデザイン
  • 西駅前の再開発
  • 空き家など遊休資産の適正管理や活用促進
  • バイオマス資源利活用施設
  • 資源化センターの再整備
  • 人材交流などによる官民協働
  • 職員の資質の向上
  • 公共施設の長寿命化や総量抑制
担当職員のみなさまにおかれましては、僕も期待していますし、議会でも質問されやすいことになりますので、これまで以上に鋭意職務に当たられてください。



最後に、所信表明の全文を載せておきます。
(議員には、直前に原稿が配布されるのです)

改行や下線・太字などは長坂が編集・追記したものです。

では!

所 信 表 明
平成28年11月

私は、前(さき)の市長選挙におきまして多くの市民の皆様の暖かいご支援をいただき、引き続き市長として、この豊橋市の舵取りを任せていただくこととなりました。
 
改めてその責任の重さを痛感するとともに、市民の皆様の大きな期待と信頼に応えられるよう、全力を傾注してゆく所存でございます。

市長として三期目の任期を迎えるにあたり、本日、このような時間を与えていただきましたことに心より感謝申し上げます。

ここに今後の市政運営における私の所信の一端を述べさせていただき、市民の皆様並びにご臨席の市議会議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。


私は、今から4年前、二期目を迎えるにあたり、東三河の一体的な発展を目指して東三河広域連合の実現をお約束するとともに、わがまち豊橋を、もっと元気でもっとやさしく、そして希望の持てるまちにしたいと訴え、これまで市民の皆様とともに理想とするまちづくりに全力で取り組んでまいりました。

幸い、皆様のおかげで、昨年、東三河広域連合が発足し、私が思い描いたまちづくりも形になりつつあります。

しかしながら、激動する時代の中で迎えるこれからの4年間は、これまで蒔いてきた種をしっかりと根付かせながら、10年後、20年後に向かって新しい豊橋をつくる第一歩を皆様とともにあらためて踏み出す時であると認識しています。



折しも、イギリスのEU離脱や新しいアメリカ合衆国大統領の誕生などにより、国際関係や経済体制の再構築が世界規模で起ころうとしています。

急速な少子高齢化が進む我が国においては、社会経済状況の変化や人口の維持増加に向けた対策を進める一方、人口減少、とりわけ生産労働人口の減少に適応した新たな社会システムの構築が求められています。


私は、基礎自治体こそが、新しい社会を創り上げる主体となるべきであり、まさにこれからの地方自治の取り組み、特に個性を磨きつつも連携を深め合う取り組みが、日本の未来を築くうえで大変重要なものになってくるものと考えています。

とりわけ、全国の自治体が地方創生にしのぎを削るこれからの数年間は、私たちのまち豊橋にとっても、ほの国東三河にとっても、これまでになく大切な時期になるものと思います。


私はこれまで、総合計画などを通じて、常に未来を見つめ、施策の成果をイメージしながら様々な取り組みを進めてまいりました。

今後も、時代の変化に敏感に対応しながら市政運営の舵を取り、この豊橋を「いつまでも暮らしよいまち」にするため、新たな一歩を確かな歩みへと繋げ、人口減少社会に立ち向かう「持続可能な未来の豊橋」を市民の皆様とともに創ってまいりたいと思います。


 
持続可能な未来を実現するためには、夢を育み新しい未来(あす)をひらく「元気づくり」、暮らしを守り未来(あす)を支える「安心づくり」、そして暮らしの基盤として未来(あす)をつなぐ「まちづくり」が必要です。

新たな未来(あす)を創るため、この「元気づくり」「安心づくり」「まちづくり」に全力で取り組むことを市民の皆様にお約束し、この3つの約束を実現するための手立てとして9つの政策を進めてまいります。


まず、一つめの約束、「未来(あす)をひらく元気づくり」です。

元気づくりに必要な政策はまず第一に、「活力みなぎる産業の創出」です。

これまで積み上げてきた成果をより確かなものとし、本市産業の活力へとつなげていくため、産学官金労の五本の矢を一つに束ね、新たな産業育成と産業力強化を促す未来への投資と、産業規模拡大のための基盤強化を進めます。

そのため、新たな工業用地の整備による企業誘致の推進や、メイカーズ・ラボ等を活用した研究・開発や起業に努めるとともに、新たな農業教育機関の設置や近未来農業などに対する投資、日本一の自動車輸出入港のハブ機能を活かした自動車のまちづくりなどに取り組みます。


次に、未来を託す子どもたちを育てる「未来に羽ばたく人づくり」です。

子どもたちが未来を生き抜くために必要な学力や体力、豊かな心を育むため、豊橋ならではの教育の充実と未来への投資を行い、豊橋らしい学校、豊橋らしい教育支援を進めます。

そのため、教科担任制の拡充と小中一貫教育を一層進めるとともに、生きる力を育むキャリア教育や「英語のできる豊橋っ子」を発展させたグローバル教育、そして得意分野を伸ばす教育の推進、さらにはICT(情報通信技術)の積極的な活用などによるAI時代に対応した学習環境の整備に努めます。

また、豊橋独自の大学生への給付型奨学金の導入などにも取り組みます。


そして、外から人と元気を呼び込む「選ばれるまち豊橋の実現」です。

訪れる場所、滞在する場所、住む場所として、本市が選ばれるよう、一層のシティプロモーションの展開に努めながら、本市のみならず、東三河、さらには三遠南信地域との連携により、新たな魅力の発掘・開発による観光力の強化と地元産品のブランド化を進めます。

そのため、これまでも取り組んできた首都圏や海外での地元産品のプロモーションに加え、新たな情報発信の拠点となる「道の駅」の整備やスポーツを生かしたまちづくりをさらに進める環境の整備に取り組みます。

また、プラット等を拠点に豊橋発の文化・芸術を創造・発信しながら、映画やオリンピック・パラリンピックを通じたプロモーションやスポーツ・文化交流を展開します。


次に二つめの約束、「未来(あす)をささえる安心づくり」です。

安心づくりに必要な政策はまず第一に、「安心して子育てできる暮らしの実現」です。

若い世代が家庭を築き、子育ての幸せを実感できるよう、出産・子育ての負担を減らす支援の充実と、仕事と子育てを両立できる環境の整備を進め、家族の笑顔があふれる施策を推進します。

そのため、結婚・出産・子育ての一貫したサポート体制を構築するとともに、保育料の軽減や妊娠・出産に対する支援、子育て仲間が集い交流する子育てサークルの充実や、家族の絆を深める三世代同居や近居の促進などに取り組みます。

また、障害者の教育や就労支援に努めます。


次に、お年寄りが元気に暮らせる「いきいきとした長寿社会の実現」です。

お年寄りには豊富な経験や知識、技能の蓄積があり、現役を引退しても、その力は社会の大きな財産です。

高齢者が年齢を重ねても生きがいを実感しながら社会で活躍できるよう、「健幸」なまちづくりの推進と働き輝くシルバー世代への支援に取り組みます。

そのため、健康マイレージ事業の推進や介護予防事業の充実を図るとともに、お年寄りの知恵や経験を生かす高齢者が輝く仕組みづくりや、市民病院における高度先進医療の整備に取り組みます。


そして、安心にとって何よりも大切なのは「災害に強い暮らしの実現」です。

南海トラフ地震に主眼を置いた防災・減災対策を進めるため、安全・安心への投資によって、暮らしの耐震化はもとより、地域防災体制の拡充や地域医療の充実に取り組みます。

そのため、災害に強いインフラ整備と公共施設などの耐震化を進めるとともに、津波防災センターの整備などによる津波対策の充実、消防団や災害医療体制の強化などに取り組みます。

また、本市にとっては、風水害への対応も大きな課題です。洪水、高潮、土砂崩れなどの対策と、避難情報の的確な伝達手段の構築に取り組みます。


次に三つめの約束、「未来(あす)をつなぐまちづくり」です。

暮らしの基盤となるまちづくりに必要な政策は、まず第一に、「持続可能なまちづくり」です。

地域特性に応じた都市機能を適切に誘導して都市拠点や地域拠点を形成するとともに、中心市街地の魅力を高め、地域の中核都市としての求心力を高めるため、人口規模に見合ったコンパクトなまちづくりを進めます。

そのため、立地適正化計画の策定などを通じて都市構造の転換を図るとともに、まちなか図書館萱町通り・水上ビルのストリートデザインの整備、西駅前の再開発などによる中心市街地の活性化と幹線バスの利便性向上などによる公共交通網の充実に努めます。

また、空き家など遊休資産の適正管理や活用促進に努めます。


次に、「ECOなまちづくりの実践」です。

環境に配慮したライフスタイルが定着したまちづくりに取り組むとともに、再生可能エネルギーの導入を促進し、過度な自動車依存から脱却した低炭素社会の実現とごみ処理体制の充実を進めます。

そのため、バイオマス資源利活用施設を整備し運用を開始するとともに、資源化センターの再整備と広域的で効率的なごみ処理体制の構築を図ります。

また、公共交通機関の利用促進や次世代自動車の普及促進などにより省エネ生活を進め、CO2 排出量の削減に努めます。


そして、広域連携による「新たな東三河の地域づくり」です。

「東三河はひとつ」という共通認識のもと、東三河広域連合の活動などを通じて、新たな地域振興策の展開や住民サービスの維持・向上など、「ほの国東三河」の創生に向けた取り組みを進めます。

そのため、広域連合の推進による連携事業の拡充やブランドづくりに取り組むとともに、国県からの権限移譲の実現を図ります。

また、東三河一体となって、設楽ダム、広域幹線道路、三河港など広域インフラの整備促進に努めます。


こうして掲げた「3つの約束」と「9つの政策」を実現するための行政運営の取り組みとして、若者の定住促進や学生が地域活動に参加しやすい環境づくり、あるいは様々な人材交流などによる官民協働の推進など「若者や大学の活用」を進めるとともに、業務の一層の効率化やAI化、職員の資質の向上や働き方の改善、あるいは公共施設の長寿命化や総量抑制などによる「市役所改革の推進」にも取り組んでまいります。


ただいま申し上げました私のまちづくりのキーワードは、「ともに生き、ともに考え、ともにつくる」でございます。

主役は市民の皆様一人ひとり。

ともに声を出し合い、ともに考え、助け合い、仲間をつくり、知恵を出し合う。

そして方向が決まったら気持ちを一つにして汗を流し合う。

私は、私の理想とするまちづくりを、こんなふうに市民の皆様と力を合わせて進めてまいりたいと考えています。


いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたどの政策も、議員各位を始め市民の皆様のご理解とご協力なくして実現できるものではありません。

私は、これからの4年間、「新しい豊橋」の未来へ向けて全身全霊を尽くす所存でございます。


皆様方には、今後とも、格別のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、私の所信表明とさせていただきます。