豊橋市議の長坂です。
東京都議ではありません。

11月13日(日)は豊橋市長選挙です。
東京都政の注目度とは対照的に、関心がとても低いことを感じています。

さて先日、こんな記事を書きました。
3期目を目指す豊橋市長の新政策発表、新聞読み比べ
http://nagasakanaoto.blog.jp/161014.html
豊橋市長選に対立候補登場、新聞読み比べ
http://nagasakanaoto.blog.jp/161015.html
 - 愛知豊橋・長坂なおと のblog  
気持ちとしては、先に立候補を表明した現在市長佐原さんから取り上げたいところですが、政策が多すぎで精査に時間がかかるため、対立候補であるくしだ真吾さんから行きます。



先の記事に書いたように、くしださんが明言しているのは次の5つです。
  • 子ども医療費を18歳まで無料
  • 若者の雇用と働き方の相談窓口の設置
  • 市独自の給付型奨学金制度
  • 小中学校給食費無料
  • 国民健康保険税の1世帯1万円の引き下げ
また、10月28日に公約を発表されたようで、新聞報道によると上記に加え、
  • コミュニティーバス路線の充実 (東愛知新聞|10月29日付)
  • 小中学校のエアコン整備 (中日新聞|10月30日付)
を掲げています。



では、それぞれいくらかかるのでしょう。
  • 子ども医療費を18歳まで無料 ⇒ 3.5億円/年
  • 若者の雇用と働き方の相談窓口の設置 ⇒ 規模不明
  • 市独自の給付型奨学金制度 ⇒ 規模不明
  • 小中学校給食費無料 ⇒ 15億円/年
  • 国民健康保険税の1世帯1万円の引き下げ ⇒ 5.1億円/年
  • コミュニティーバス路線の充実 ⇒ 規模不明
  • 小中学校のエアコン整備 ⇒ 26億円以上(+電気代等/年)
計: 23.6億円/年以上+エアコン整備費26億円以上



1.子ども医療費を18歳まで無料 ⇒ 3.5億円/年

現在、豊橋市では医療費の自己負担分について、小学校卒業まで入院通院ともに無料、中学校卒業まで入院無料、通院半額助成が行われています。

その助成総額は、年間約14億円です(平成27年度決算実績)

つまり、高校卒業まで入院通院が無料化されるには、中学生通院分の残り半額と、高校生の入院通院全額分が必要になります。

担当課に問い合わせたところ、その増額分は約3.5億円と試算しているということでした。


2.若者の雇用と働き方の相談窓口の設置 ⇒ 規模不明

規模が不明なので、わかりません。

参考値として、現在の豊橋市の「子ども・若者総合相談窓口」の運営費は、相談員2人+民間支援団体への相談支援業務の一部委託を併せて、約1200万円です(平成27年度決算実績)。


3.市独自の給付型奨学金制度 ⇒ 規模不明

規模が明らかでなく試算できないだめ、長坂で勝手に規模をおおまかに仮定して、推計してみます。
  • 豊橋市の児童生徒数: 約3,000人/1学年
  • 大学進学率: 約50%
  • 最近よく耳にする子どもの貧困率「6人に1人」: 6分の1(約17%)
  • 奨学金月額3万円として年額: 36万円
  • 大学卒業にかかる期間: 4年(4学年分) 
これらを掛け合わせると、3.6億円/年


4.小中学校給食費無料 ⇒ 15億円/年

平成27年度決算での「学校給食費収入」が、1,504,436,006円のためその数字です。


5.国民健康保険税の1世帯1万円の引き下げ ⇒ 5.1億円/年

平成28年度予算で、国民健康保険事業の世帯数が51,200世帯のため、それに1万円を掛けた金額です。


6.コミュニティーバス路線の充実 ⇒ 規模不明

参考値として、コミュニティバスに関する「地域公共交通活性化推進事業費」は、平成27年度決算で約3,800万円です。


7.小中学校のエアコン整備 ⇒ 26億円以上(+電気代等/年)

この試算がいちばんしんどかったです。

なぜならエアコン整備費が事例によってかなりバラツキが大きく、少し調べただけでも1教室あたり220万円から480万円と、倍以上も差がありました。

豊橋市の小中学校の教室数は、平成27年5月時点で、普通教室で1,190室あります。

これに220万円を掛けると約26億円
480万円なら約57億円になります。

また、特別教室を含む全教室では2279室になるため、同様に220万円なら約50億円、480万円なら約109億円となります。

これは設置にかかる費用だけのため、毎年の電気代や維持管理費が別にかかりますし、まだ機械の寿命が10年なら、10年毎に更新のお金もかかります。



ここで終わりではありません。

では、このお金、

計: 23.6億円/年以上+エアコン整備費26億円以上

をどうやって捻出するのか。
くしださんはこのように仰ったようです。
シティプロモーションやまちなか開発、産業誘致を見直せば実現できる
 - 中日新聞|2016年10月30日
個人的に、何かをする代わりに、何を縮減・削減・見直すのかについて触れているのは、好感です。

では、それぞれ現在いくらほど使っているのか。 まずは平成27年度決算で見てみると、

シティプロモーション関連
  • シティプロモーション費: 約1400万円
  • 首都圏活動センター費: 約1500万円
  • 農漁業発信力強化費: 約8800万円
  • 観光費: 約8400万円
  • 観光情報発信費: 約9600万円
 計: 約3億円/年


産業誘致関連
  • 企業誘致費: 約3億1800万円
 計: 約3.2億円/年

合計: 約6.2億円/年

ということで、先ほどの23.6億円/年以上には、まだまだ足りません。



また、今後計画されているものとしては、

まちなか開発関連
  • まちなか図書館(仮称): 約30億円
  • まちなか広場(仮称): 約7億円
 計: 約37億円

また、金額は明確に出ていませんが、産業誘致関連で、国道23号明豊道路沿線に新たな産業用地を確保する計画がありますので、こちらも用地確保となれば、大きな金額になると思います。

これについては、エアコン整備費26億円以上と同程度の金額のため、「まちなか再開発か、エアコンか」という議論はなりたつかもしれません。 但し、電気代を含む維持費をどうするか、という課題もあります。



というわけで、「そんな建設的な議論があるといいなぁ」と期待しているこちら
161101_01
http://www.toyohashi-jc.sakura.ne.jp/2016/topic/1870/
もちろん、ぼくも行きます。



繰り返しになりますが、いいことばかりを書きがち・言いがちな公約において、「そのために何をやめるのか、減らすのか」について触れているだけでも、ぼくは好感ですよ。

では!


<参考>
平成27年度決算|豊橋市
http://www.city.toyohashi.lg.jp/2529.htm
平成28年度予算|豊橋市
http://www.city.toyohashi.lg.jp/8815.htm
日本建設新聞社 » 小学校と幼稚園 629室の空調設置に30億円(千葉県野田市)
http://www.jcpress.co.jp/wp01/
千葉市はなぜ、小中学校へのエアコン設置を却下したのか 「耐える能力必要」という議員発言に批判相次ぐ
http://www.huffingtonpost.jp/2014/06/26/chiba-city-air-conditioner_n_5532740.html
わかやま新報 » Blog Archive » 国補助金なく事業停止 中学校エアコン整備
http://www.wakayamashimpo.co.jp/2015/11/20151125_55956.html
豊橋市の教育2015(PDF)
http://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/8994/2015.pdf
豊橋市まちなか図書館(仮称)実施計画 (PDF)
http://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/34599/honpen.pdf
まちなか広場(仮称)基本計画(PDF)
http://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/39636/hiroba_kihon.pdf