本ブログでも度々取り上げている、ユニチカ跡地について。

本日、議会の総務委員会において、豊橋市から経過と対応についての説明、そして、議員(総務委員)からの質問がありました。
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ぼくは建設消防委員で、総務委員ではないので傍聴です。

これまでの経緯については、こちら。
何が驚いたって、NHKのカメラが来ていました。 僕が議員になってはじめてのことです。 普段は1人いるかいないかの傍聴も20人近くいたんじゃないかと。 関心高い案件です。
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 - 夕方のローカルニュース「ほっとイブニング」より

※追記:NHKニュースがネットでも公開されました(リンク先に動画もあり)
豊橋市提供の土地売却で論議 - NHK東海のニュース
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 - http://www3.nhk.or.jp/lnews/nagoya/3005173051.html
 - http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20160510/5173051.html

終戦後、豊橋市から無償で約27万平方メートルの土地の提供を受けた大手繊維メーカーが、去年、その土地を売却したことを巡り、豊橋市議会で土地を市に返還する必要があったのではないかと論議になり、10日、市側はこれまでの経緯の説明を行いました。

豊橋市や関係する企業によりますと大手繊維メーカーの「ユニチカ」は豊橋市にある事業所を閉鎖し、去年10月、所有する約27万平方メートルの土地を、大手住宅メーカーに63億円で売却しました。

この土地は昭和26年に、当時、企業誘致を進めていた豊橋市が、ユニチカの前身の会社に無償で提供したもので、当時の契約の中で「使用計画を放棄した部分は市に返還する」と定めていたことからこの土地は豊橋市に返還する必要があったのではないかと市議会で論議になりました。

これについて、10日、市議会総務委員会が開かれ、堀内一孝副市長は土地を売却する際にユニチカ側から事前に相談があったことを明らかにした上で、「当時の契約は、土地が広大だったことから企業が操業中に使用していない土地の一部の返還を規定したもので、今回のような全面撤退は想定していなかった。このため市には返還を請求する権利はなかった」と説明しました。

これに対して、一部の議員は企業側に損害賠償を請求する必要があると主張していて、今後も市議会で論議される見通しです。 05月10日 19時05分

※追記終わり



何はともあれ、まずは委員会が終わり、公開情報となった委員会の資料から。
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 - https://www.dropbox.com/.../160510unitika.pdf
※PDF化もしたので期間限定でアップします。23MBありますので、ダウンロードは回線に余裕があるとき、お早めに。



さて、資料として目新しい点は、

資料1
平成26年 10月9日 ユニチカ(株)社長が豊橋市長あて文書を提出 参考資料1 
    10月29日 ユニチカ(株)社長が豊橋市長へ説明
    11月5日 庁内に「ユニチカ敷地対策会議」を設置(以降7回開催) 
平成28年 4月25日 積水ハウス(株)が土地利用計画素案(イメージ)を作成 参考資料3
参考資料1
平成26年10月9日

(略)万やむを得ず、豊橋事業所における操業を停止する方向性を固めましたので、ご報告致しますとともに、事情ご賢察のうえご理解賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げます。
  1. 平成27(2015)年3月末までに、豊橋事業所全体を閉鎖すること。
  2. 閉鎖に前後して、豊橋事業所敷地は、再開発を前提とする第三者へ売却したいこと。
  3. 敷地の売却は、三菱UFJ信託銀行を弊社のアドバイザー兼仲介者として執り行うこと。
  4. 今後、敷地の売却及び開発を行うにあたり、豊橋市様にご相談頂きたいこと
参考資料3(再掲)
「ユニチカ跡地 土地利用計画の素案(イメージ)」 2016.4.25 積水ハウス株式会社
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〔公園・調整池〕
この地歴としての既存木を生かし、防災機能を備えた緑ゆかな(注:原文ママ)公園を整備する。また、既存井戸水を環境共生型公園の維持水として利用する。

〔業務施設〕
医療・福祉施設として、医療モール/病院、サービス付高齢者住宅等を計画中。

〔生活利便施設〕
食品スーパーや専門小売店を中心とした施設を検討中。地域の利便性向上と経済活性化を目指す。

〔生活交流施設〕
交流拠点として、まちの中心に配置し、集会施設やセキュリティーセンターを配置する。さらに、学童/託児施設、ウェルネス施設、また景観維持を担うガーデニング店舗を検討中。

〔中央幹道・並木道〕
まちのシンボルロードとして、美しい街路樹の景観をつくる。さらに東西を結ぶ「架け橋」によって、人の交流の活性化を図る。

土地利用
 住宅地・・・ 約400区画 


また、委員会中の答弁で明らかになったことについて。
(メモからの書き起こしのため、細かい字句が発言と異なる可能性があります)
「社内決定まで公表は控えたい」というユニチカの意向
⇒結果として、この公表は、売却(譲渡)3日前の平成27年9月28日になりました。


(昭和26年の契約書や、昭和41年の協議書について)弁護士の意見も用いて、個別詳細を検討
⇒豊橋市が弁護士に意見を聞いていた


(昭和26年当時)豊橋市を介して、国からユニチカへ直接登記が移転された
⇒登記簿上、豊橋市の所有になったことはない(農地解放による国からの払い下げという経緯)


(平成28年3月18日の積水ハウスによる住民説明会によると)再開発には、7年程を要する見込み

(ユニチカによる本市の税収について)平均で1年あたり1億5800万円
⇒確認したところ、平成27年度までの直近の固定資産税10年間、法人市民税12年間、事業所税7年間をそれぞれ1年あたりにして、足し上げた数字、ということ。

ちなみに、鈴木道夫委員の発言によると、昭和32年には、当時の市役所の一般会計予算が5億円に対し、固定資産税だけで、ユニチカから2500万円。


(平成26年10月のユニチカ社長からの文書の前に)昭和26年の契約についての協議はしていない。契約の存在は確認している。


さて、ここからは「認識」の話。

豊橋市としては、
  • 本契約は既に当初の目的を達している(から、豊橋市に返還請求の権利はない)
  • 弁護士とも個別・詳細を検討している。「全面返還」についての特約がなく、返還請求はできない
  • 契約書で、全面撤退については、想定されていない
  • 平成18年の早川市長答弁の本旨は、「返還請求できない」である
  • 跡地を本市の財産(債権という意味も含め)と認識していない。そのため、地方自治法で定める議会を経る必要のある財産の処分にはあたらない
それに対して一部議員(NHKニュースより。便利な言葉)としては、
  • 昭和41年の協議書に、(契約書にある文言の)「将来」は有期ではない、とあるので、返還は有効ではないか
  • 平成18年の早川市長答弁 「全く違う企業がきたときに、では目的外の使用になっていくのではないかとなりますと、市としてはどうぞお返しくださいと、そのような話に戻っていくということにもなりかねません。」より、今回の件は、この目的外の使用にあたるのではないか
  • 今回の件は、昭和26年契約の13条で定める、協議の必要のある「疑義事項」に該当し、事前に協議をするべきではなかったのか
  • (豊橋市に返還請求の権利があるとしたら、)今回の件は、地方自治法に反するのではないか
 と、このような感じで、見ての通りの並行線&契約書の解釈論になっています。



最後になりましたが、今回資料として提出された、積水ハウス作成のイメージについては、この委員会をもって、議会の承認を経たわけではない、ということが委員会中に確認されていますので、補足しておきます。

では。