ユニチカ跡地の返還案件の続きです。
民間で土地を持ち続けてくれれば、市役所には毎年、固定資産税が入ってくる。 一方、豊橋市が所有してしまったら、それがなくなる。

そういう意味では、市役所が単純に土地を所有するだけで、資産として運用活用できないのであれば、負債になってしまう。 固定資産税の話は、調べてみたら、ちょっとおもしろそうなので、改めて紙幅を割きたいと思います。

 - ユニチカ跡地の返還案件に関する不思議な空気感 - 愛知豊橋・長坂なおと のblog
 http://nagasakanaoto.blog.jp/151211.html
というわけで書きます。



まず、大前提として、固定資産税は市税です。 なので、固定資産税が発生すれば、豊橋市にとっては収入(歳入)になります。

じゃあ、現段階でユニチカ跡地には、どれほどの固定資産税が発生するのか。

まず計算方法です。
基本的に固定資産税の計算方法は、固定資産税の評価額に標準税率の1.4%をかけた金額になります。

 - 固定資産税っていくらかかるの?計算方法を徹底解説|計算例3選つき
 http://keiei.freee.co.jp/2015/04/27/koteishisanzei_keisan/ 
なるほど! では、その固定資産税の評価額というのは、どう調べれば?? こんなときのWikipedia
外部リンク
全国地価マップ 財団法人資産評価システム研究センター

 - https://ja.wikipedia.org/wiki/固定資産税評価額|Wikipedia 
おおお、こんな便利なものが。 さっそくドン!
151212_01
 - http://www.chikamap.jp/map/map.asp?plc=23201114000

中央のピンク色が、ユニチカ跡地です。 その東西南北、赤い矢印で指した地点の固定資産税評価額は下記の通りでした。
  • 東: 61,500円/平米
  • 西: 63,700円/平米
  • 南: 60,700円/平米
  • 北: 67,200円/平米
北西寄りの評価額が大きいですが、これは、豊橋市の中心部(豊橋駅)が、北西方向にあるためでしょう。 特に北地点は、地域内交通である渥美線の駅も近いですし。



さて、東西南北4地点の金額を平均すると、63,275円です。 ユニチカ跡地の評価額も平均化すると、この金額になるとすると、いくらの固定資産税になるのか。

ユニチカの発表によると、売却されたユニチカ跡地の面積は、270,692.74平米ということですので、掛け算をすると、

63,275円 × 270,692.74平米 = 17,128,083,123.5円 ≒ 171億2808万円!

これに、 固定資産税の標準税率1.4%をかけると、

171億2808万円 × 1.4% = 239,793,120円 ≒ 2億3979万円!

おおお・・・ユニチカ跡地だけで、毎年2億4000万の固定資産税・・・。 つまり、跡地が豊橋市の土地になると、毎年2億4000万の収入(歳入)減。。。



しかし、実は話はちょっと違います。

先ほどのこちらのマップ、実はユニチカ跡地内の評価額データもありました(水色のピンの箇所)
151212_01
こちらの金額は、25,900円/平米。 あれ? さっき計算した東西南北平均63,275円の半分以下、なんで??

よく見ると、東西南北の土地と、用途地区区分というものが違いました。 東西南北が、普通住宅となっているのに対し、跡地内は大工場、と。 他にもいろいろ要因はあると思いますが、たぶんこれが評価額が大きく違う最大の要因でしょう。

そして、この25,900円/平米を前提に同じ計算をすると、跡地全体の評価額は、70億円(7,010,941,966円)、毎年の固定資産税は、9800万円(98,153,187円)になります。

どちらにしても、跡地が豊橋市の土地になると、少なくとも毎年約1億円の税収減になるということです。

(もしかしたら、ユニチカの固定資産税について、になんらかの特例的措置が取られていたかもしれませんが、そういうものがなかったとした場合)



これは、とても興味深い話です。

まず、行政としては、土地は所有しない方が、資産であるということ。 それはお金を生み出すという意味で。 そしてその「用途」を変えることで、その価値が2倍以上(あるいは半分以下)にもなるということ。

極端な話ですが、現在の用途である大工場が、普通住宅に変わるだけで、市役所の税収は、1億円から2億4000万円へと、1億4000万円も増えるのです。

もちろん、そんな簡単な話ではなく、実際に住宅地として運用しようとすると、道路をつくらないといけないので、その土地が公地となり、住宅地の面積が減り、その分の固定資産税も減ります。 道路建設費・維持費もかかります。 住宅地には、固定資産税の減免措置もあるようなので、その分も減るでしょう。

実際には、道路分の面積が少なくなったり、住宅地の減免措置などを勘案すると、現在の用途:大工場 、と比べてそれほど固定資産税の総額は変わらなさそうです。 (そう思うと、うまくできた制度だとも感じます)

用途変更されると、積水ハウスが63億円で購入した土地の価値が、劇的に急上昇するので、その扱いが、法令上・制度上・会計上どういう扱いになるのかは、よくわかりませんが、こうやってお金を調べてみると、ちがった見え方もするものです。



といってもやはり、豊橋市が無償で返還を受け、それを63億円で売却した方が、歳入的にもよかったはずであり、やはり疑問は残るのですが・・・

では!