ただいま12月の議会中です。

本日12月8日の一般質問で鈴木みさ子議員から驚くべき話が出てきました。  鈴木議員から、本日の原稿や資料をいただき、話を整理します。



豊橋駅から約4km離れたところに、ユニチカ(旧・大日本紡績)という会社の工場がありました。 高師緑地公園という大きな公園の近くで、渥美線というローカル線の駅からは500mほどしか離れておらず、その面積は27万平米(東京ドーム約6個分)。

最近では、ドラマ・READERSのロケも行われました。

(1分45秒くらいからのシーン)

そして、休眠状態であった事業所が、今年2015年4月に完全に撤退。 そしてこの9月にその土地が63億円で、積水ハウスに売却されることが発表されました。
ユニチカ、休眠中の愛知・豊橋事業所を閉鎖 売却視野に  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ09I3M_Z00C15A4TJ1000/
RT @wwd_jp ユニチカが27万平方メートルの豊橋事業所跡地を63億円で売却
https://www.wwdjapan.com/business/2015/09/28/00018157.html
その知らせは、僕たち議員にも議会事務局からFAXがありました。
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そのときは、「広大でその今後が注目されている市内の土地とは言え、民間企業の取引についてどうして通知が来るのだろう」、と思ったのですが、そうではなかったのです。

それが本日、鈴木みさ子議員が取り上げた文書。 昭和41年にユニチカと豊橋市が交わした協議書です。 この協議書には、このような記載があるということ。
ユニチカ株式会社は、将来敷地のうち使用する計画を放棄した部分は、これを豊橋市に返還する
ふぁっ!!?



時系列でお話しします。

戦後すぐの昭和26年、豊橋市が国から払い下げを受けた土地を、当時の大日本紡績に無償譲渡し、豊橋に誘致をしました。

この誘致は、全国で28か所が名乗りを上げる猛烈な誘致合戦であり、土地の無償譲渡の他、鉄道引き込み線、関連道路や排水路の新設・整備、固定資産税の5年間免除など、手厚い優遇策をもって、豊橋市は誘致に成功しました。 このとき契約を交わします。

そして、操業当初は、2000人の雇用を生み出し、豊橋の戦後復興とその後の経済の発展に大きく寄与。

しかし、繊維産業の衰退とともに、契約の一定見直しもされてきました。 そうした中で、昭和41年2月に疑義が生じるということで、疑義事項協議書が交わされました。 鈴木みさ子議員が取り上げたのは、この協議書です。

そして、冒頭でご紹介したように、ユニチカが今年2015年4月に完全撤退、そしてこの9月に土地の売却を発表。

これがおよその流れです。



じゃあ、今回の話(協議書)がサブマリンのように突然出てきたものかというと、そうではありません。

9年前の平成18年9月の議会でも、牧野英俊議員がこの疑義事項協議書を取り上げ、当時の早川勝市長は、このように答えています。
◎早川勝市長 ユニチカの問題でございますが、議員が御指摘のとおり、昭和26年のときからスタートしておりまして、41年、先ほど紹介がありましたように、実は疑義事項協議書の取り交わし、こういうのをどういうように解釈するのですかということです。取り交わしました。

実はそれ以降、58年にユーアイ電子が設立されまして、実はもっと近くになりまして、平成14年に分社化の話がございました。そのときに、弁護士にも相談したのですが、つまり本体を分社化したときには、使用目的から外れるのではないか。つまり、外れたときには返しなさいという、たしかそういうそもそもの契約がありましたが、分社化につきましては、親会社と同一性があると、そして分社化することは契約に違反しない、違っていないですよということでございます。

それから、返還請求についてもその際検討したわけですが、法的に返還請求はなかなか難しい。市が権利を主張することはこれは困難であろうということがございました。

先ほどのお尋ねに対して部長も答弁しましたが、行政として、一番わかりやすいのが、ユニチカの企業そのものを空間地にどうぞ持ってきてくださいと。これだともう全然契約に違えていないわけですから、問題がございません。

 - 豊橋市議会会議録 平成18年9月 定例会 09月04日-01号
http://www.kaigiroku.net/kensaku/toyohashi/toyohashi.html
そして、今年2015年5月の定例記者会見において、現・佐原光一市長は、閉鎖の方針が決まったユニチカ豊橋事業所の今後について、こう回答しています。
敷地面積が8万坪余り、緑豊かな高師緑地に隣接し、渥美線の高師駅からは徒歩圏内、アイプラザにも近い、このような素晴らしい所に位置する広い土地ですので、本市にとっても大変重要な場所だと認識しています。

今後、この土地活用の検討が進むと思いますが、本市としましては、広く南部地域のまちづくりに活かしていくといった観点を持ちながら、それがより良いものになるよう協議し、対応してまいりたいと考えています。

 - 2015年5月市長定例記者会見「市政記者からの質問」
http://www.city.toyohashi.lg.jp/18871.htm


ところが、本日の議会にて、鈴木みさ子議員の質問についての、豊橋市の回答は、

 - 質問: ユニチカ豊橋事業所があった土地が、第三者へ売却されることに関する本市の認識は?
ユニチカ豊橋工場が存続できなくなったことは大変残念ではございますが、同社の経営上の判断であると考えています。
 - 質問: 市民や議会に対して説明する責任があったのではないかと考えるが、市の説明責任に関する認識は?
土地の売却は、あくまでもユニチカ株式会社の経営判断であることから、特段ご説明する必要はないものと認識しています。
ふあっ!!!??

腰抜けるかと思った。



実は、明日(12月9日)にも、鈴木道夫議員が、この土地に関する質問をする予定なので、まずはそこでの経過を見据えようと思います。

鈴木道夫議員は、明日の3番目で、早ければ11時半頃から、遅くとも13時から質問が開始されます。 インターネット中継もあります。
 - http://www.toyohashi-city.stream.jfit.co.jp/
(余談ですが、12時~13時は昼休みで、各日の3番目の人はだいたい昼休みをまたぐことが多いので、どこで休憩が入るか時間が読みにくくやりづらい順番でもあります。)

追記(15/12/10):
鈴木道夫議員の質問では「返還」についての、言及はありませんでした。




ちなみに、27万平米という土地がどのくらいの広さかイメージしやすいよう、Wikipediaで、少し調べてみました。
  • 東京ディズニーランド(駐車場含まず): 51万平米
  • 東京ディズニーシー(駐車場含まず): 49万平米
  • ユニバーサルスタジオジャパン(駐車場含まず): 39万平米
  • イオンモール岡崎(敷地面積): 10万7千平米
  • イオンモール浜松志都呂(敷地面積): 6万8千平米
  • 東京ドーム(建築面積): 4万6千平米 
ユニチカ跡地、本当にあれだけの場所にあれだけの面積がまとまってあるということに、価値があるよなぁ。

最後になりますが、快く原稿などの資料を提供くださった鈴木みさ子議員、ありがとうございます。

では!