または、あなたに能力がないか、それに足る信頼を得ていないか。



先日、近隣自治体の方が、「毎日フォーラムの記事を見て」と、訪ねてくださいました、ありがたい。 あの記事、溜まってる(いい言い方をすれば、自治体を変えたいと思っている)職員の方からは結構好評で、他にも何通かメッセージなどいただきました。

 - 行政と市民 「与える−与えられる」関係から脱皮を|毎日フォーラム・視点:豊橋に日本一の図書館をつくろう委員会委員長 長坂尚登 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/feature/news/20150204org00m010050000c.html

そこで、出てきたお話として、「若い人への、権限・裁量が少なすぎる」と。 なるほど。 ちなみに、その方は、僕と親子ほどに年齢が離れており、部署肩書からお察しするに、組織の主軸にいらっしゃるとお見受けしますので、当事者としてのグチというより、嘆き・憂いといった感じです。



さて、僕が新卒で入った会社は、社長ひとり・社員ぼくひとり、という会社で、とにかく社長は、少しでも僕に仕事(判断・裁量含む)を振りたがっていました。 当たり前ですが、そうしないと仕事・会社が回らないので。 判断しなきゃいけないことは山ほどあるので、瑣末なことから僕に渡して、少しでも自分が重要な判断に時間を割けるように。

この経験からすると、上司が部下に権限・裁量を振らないのは、瑣末な判断すら上司ができるほど、上司に時間がある、つまりヒマだからとしか思えません。 極端な話、ボールペン1本買うのに、上司が判断するなんて、上司ヒマ過ぎでしょう! これは自治体だけでなく、そこそこの規模の組織でも言えることかもしれません。



僕はどちらかというと、人に仕事を頼むより、全部自分でやってしまう(抱えてしまう)タイプです。 短期的には、そちらの方が楽だし、作業も早い。 しかし、それだといつまで経っても忙しいままだし、発展もしない。 そんな簡単なことに気づくのにちょっと時間がかかりました。

だから、僕が商店街マネージャーという仕事に着いて、一番はじめに考えたことは、自分が商店街を盛り上げるよりも、商店街を盛り上げる人を増やそう、ということ。 3年経って、少しずつですが、ようやく芽が出かかっている感じです。

例えば、この地元・愛知大学の学生団体accompanyの学生らとは、昨年・一昨年といっしょに、「豊橋まちなか看板娘マップ」「豊橋まちなかお店マップ」というものをつくっていました。 ところが、今年は、自らまちに繰り出し、お店を取材し、フェイスブックでどんどん情報発信しています。



僕との接点は圧倒的に減ったので、寂しいと思うこともある反面、彼らをとても誇らしく思います。 もちろん、これは組織の話ではないですが、一例として。



そんな心の変化に伴い、僕の中で「優秀な人」が意味するところも変わっています。 昔は、単独で成果を出せる人、だったのですが、今はそれ以上に、人を見極め、それに合わせて仕事を振れる人、を優秀だと思っていますし、僕もそれを目指しています。

だからもし、あなたが権限・裁量ないのなら、それは上司がヒマなことに加え、優秀でないのかもしれません。 もっとも、上司がヒマなのも、上司の上司が優秀でないからかもしれませんが。

そんなにヒマなら、人減らせばいいのにね。 忙しくなったら、仕事振らざるを得なくなるから。

では!