2月5-7日の中日新聞に、とても気合いの入った記事が掲載されていたので、ご紹介します。 豊橋のまちなかにある歓楽街、松葉地区(松葉町)についての記事です。
日が沈み、ネオンの明かりがともる豊橋市松葉地区。東京ドームよりやや大きい程度の敷地(約五万平方メートル)にビルが立ち並び、キャバクラやスナック、居酒屋など四百店が営業している。

この三河地方最大の歓楽街では、指定暴力団山口組の直系組織である「平井一家」が力を持つ。県警はみかじめ料を主要なシノギ(資金源)とみて、取り締まりを強化している。(略)

店主との関係構築に力を注ぐのは、「店の数が組の格」だから。複数の組で構成される平井一家。それぞれの組員が集めたみかじめ料から、一定の額が上納金となる。

男性は「下っ端なら月二、三万円。幹部は月二十万円を組に納めていた」と説明する。

<断ち切る 暴力団と歓楽街>(上) 根深い関係:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web) http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20150205/CK2015020502000047.html

三河地方最大の歓楽街である松葉は、県暴力団排除条例の「特別区域」に指定され、みかじめ料を支払った店側も罰則の対象。昨年六月と七月にも経営者が逮捕されている。

「暴力団の資金源を断つためには、支払った側が『被害者』という感覚は間違い」と、豊橋署幹部は説明する。(略)

かつて、松葉地区でみかじめ料の受け渡しに関わった男性は懐かしむ。「昔は組員と付き合っちゃいけないなんて認識が店側になかった。『ご飯食べに来なよ』『払ってあげるよ』なんて、組員をかわいがった。暴対法が施行され、店側が次第に離れていった」(略)

松葉の一部飲食店などが加盟する豊橋料理飲食事業協会の左京みなもとの三郎会長(78)は「加盟する約百店は、暴力団と一切付き合っていない」と明言する。

加盟店には「組員が要求に来ても、相手よりも多い人数をそろえ、丁寧に頭を下げ続ける。要求がしつこければ、音声を録音して県警に相談すればいい」と指導する。

<断ち切る 暴力団と歓楽街>(中) 変化の兆し:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web) http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20150206/CK2015020602000055.html

「街の顔役がいなくなり、ささいなことでけんかするチンピラが増えるほうがもっと嫌だ」。豊橋市の歓楽街・松葉地区でスナックを営む女性はそう語る。

指定暴力団山口組直系・平井一家と長年、付き合いを続けてきた松葉の経営者たち。年配者からは特に、「必要悪では」との声が聞こえてくる。(略)

愛知県警に対しては、信頼感の薄さに、不信感も上乗せされる。

松葉の飲食店主は数年前、ひそかにカメラを設置した。組員が店内でトラブルを起こした際の証拠にするつもりだった。数日後、組員に声を掛けられた。「おまえ、カメラを取り付けたらしいな」

店の男性は「知り合いの警察官だけにしか知らせていないのに。情報が漏れているとしか思えないのだが…」とため息をつく。(略)

風俗営業に詳しい永井良和・関西大教授(社会学)は「みかじめ料は長年の慣行。店側の努力も重要だが、彼らは丸腰の市民。歓楽街の健全化を図る主は、警察であるべきだ」と強調する。「裏社会」に詳しい作家の溝口敦氏は「法整備が進み、市民が暴力団に対抗できる武器はもうそろっている」と語る。

松葉のキャバクラ店員だった男性は昨年、独立した。案の定、三人の組員がやってきた。「暴力団の方は…」と断ると、「営業できなくしてやるぞ」とすごまれた。

ただ、それだけだった。「松葉で新しく店をやる人間は、絶対に通らなきゃいけない道だから。そんなに怖くもないよ」

<断ち切る 暴力団と歓楽街>(下) 決別の時:愛知:中日新聞(CHUNICHI Web) http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20150207/CK2015020702000054.html
なかなか凄みのある記事です。 中日新聞、地域のニュースは、サイト掲載にいたる記事は少ないです。 それが掲載されているということは、きっと社内的にも評価の高い記事なのでしょう。

こちら、昔読んだ本ですが、90年の歴史を追うことで、暴力団のがなぜ存在するのかが書かれており、いろいろ見方が変わりました。 オススメです。


実はもうひとつ、この記事のすごいところは、署名記事であること。 (下)の最後に、署名を見たとき、僕は身震いがしました。 そして、いざとなったら、転勤という方法で記者の身を守ることができる、大きい新聞社だからこそ書けた記事だよな、と感心もしました。

地元で、記者の顔も浮かぶため、特に地域面は誰が書いた記事かを気にしてみています。 こういう新聞の見方もおもしろいですよ。

では!