僕も初見だったのだけど、なぜか2年前の投稿が話題になっていまして。
【どう考えたら 新幹線の三景】 無職 河村 吏 (静岡市葵区 63)

 暮れの新幹線。相当の混雑なので指定車両に移ってみた。ここも満席だったが、ふと見ると、座席に小さなバスケットが置いてあり中に小犬。隣に若い女性が座っていた。早速「ここ空いてますか」と尋ねてみた。すると、その女性は、「指定席券を買ってあります」と答えた。私は虚を突かれた思いがした。

 改めて車内を見渡すと、多くの立っている大人の中、母親の隣で3歳ぐらいの男の子が座っている座席もある。あれも指定切符を買ってあるのだろう。
 
 仕方なくいっぱいの自由席に戻ると、ここにも学童前と思われる子が親の隣に座っていた。懲りもせずにまた「ここ空いてますか」と尋ねると、母親は仕方なさそうに子どもをひざの上に乗せ、席を空けた。私はその座席で居心地の悪さを感じながら、この新幹線の中での三景をどう考えたらいいのか自問した。
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 - 私「ここ空いてますか」 女性「指定席券を買ってあります」 新幹線で、私は虚を突かれた思いがした http://alfalfalfa.com/archives/7735288.html
僕も、虚を突かれた思いがしました。 ネットで、散々叩かれていたのですが、改めて、この河村さんは、本当にそこまでのことをしたのかと。
  • 混んでるから指定席車輌に行く ⇒ わかる(暮れなら自由席にすら立てないときがある)
  • 犬の隣の人に聞いてみる ⇒ わかる(空いてる指定席に置いてるだけかもしれない。指定席は車中でも購入可能)
  • 指定席の3歳児に疑問を抱く ⇒ まだわかる。(「幼児」は親のひざ上など指定席を使わなければ無料のため、空いてる指定席に座っている可能性がわずかながらある。そんなに混んでいたなら、空いてる指定席ないだろうが)
  • 自由席の学童前に空いているか聞く ⇒ わかる。(「幼児」は「おとな」といっしょなら、無料。おそらくひざ上が想定されている)
・・・めっちゃ批判されているけど、この方も自分が払った分の権利を主張されているだけのように、お見受けする。



僕も知らなかったのだけど、JRではペットのために指定席を使うことはできないので、実は最初の女性が、ルール違反であったことをあとで知るのだけど、
JRの規則により、1人が2枚以上の乗車券や指定券を同時に使用することは禁じられています。ペットは「人」ではありませんから、ペットのための指定席を確保すると、「指定券2枚の同時使用」にあたります。したがって禁止されています。

- 新幹線へのペット持込方法|新幹線旅行研究所 http://shinkansen.tabiris.com/pet.html
そして、幼児・乳児の自由席利用に、特に制限がないということも。
新幹線の自由席を利用する場合は、「幼児」「乳児」は原則無料です。この場合、「席を使用してはならない」というような規則はありません。ですから、幼児や乳児が1席を占拠してもルール上は問題ありません。

とはいうものの、満員の自由席で立ち客がいるのに、無料の子供が自由席で座っているのはマナーに反するのではないか、と考える人もいます。心情は理解できますね。

ということで、自由席が混雑している場合は、できるだけ配慮しましょう。無料の幼児をひざの上に載せたり、2人いたら1席に座らせたり、などなど。4歳、5歳となるとひざの上というわけにもいかないでしょうが、できる限りの配慮をすれば、気兼ねなく旅ができます。

 - 新幹線の子供料金は何歳から? 年齢とチケットのルール|新幹線旅行研究所 http://shinkansen.tabiris.com/child.html
というわけで、記事の登場人物の中なら、最も落ち度があるのは、小犬の飼い主の若い女性であって、河村さんじゃない。 混んでる新幹線なら、見廻りの職員が、事前に一言指摘してもよかったんじゃないかと思う。 知らないままなら、何度も繰り返してしまうし。

様々な人が、様々な事情を持っているから、それを交通整理するためにあるのがルールなので、今回の件について、河村さんの落ち度はないと僕は思う。 強いて言えば、最後の自由席の母親は別に断ってもよかった。



でも、話の本題はここから。

もし、この河村さんに落ち度があるとすれば、このいらっとする文章。 でも、僕はいらっとするけど、これに共感する人もいる。 少なくとも、この投稿を載せた朝日新聞の編集者はそう思ったから載せた。 (まさか、炎上を目的に掲載したということはないだろうから)。 つまり、新聞を読んでいるような人たちは、これを見て、そうだそうだ、と思う人が多いであろう、と少なくとも編集はそう考えていた。

ひと昔前に、親子ほど歳の離れた相手と不倫をした方が、「異文化交流です」という名言を残されたけど、本当に、それほど歳の離れた人とのやり取りは、そう思っておいた方がいい。

今回の場合、「子どもが座ってる席を取るのか」という批判をよく見たけど、「子どもはひざ上が当たり前でしょ」という価値観かもしれない。 「飛行機でなく、新幹線で節約した」と思ってるかもしれないけど、「子どもに新幹線なんて贅沢な」と思ってるかもしれないし、「かわいそうだから犬を連れて行く」と思っていても、「犬をこんな狭いところに閉じ込めてかわいそう」「旅行したいならペットを飼うな」と思っているかもしれない。

そのくらいに、自分が思っていることを、相手も思っているなんて、期待しちゃダメ。

特に、ジェンダーやセクシュアリティの感覚については、僕もたまに頭が痛くなるを通り越して、怒れることもある。 具体例を書くのは憚れるけど、僕の実感的には、今の50歳くらいがそういう感覚の境目。

それが、ニ世代も離れたら一体どうなるか。
 - 都議会の「早く結婚しろ!」野次と、爺さん婆さんのメンタリティ http://nagasakanaoto.blog.jp/140619.html
僕らも子ども世代から見たら、きっと今僕らが河村さんに抱くような感情を、抱かれてしまうんだろうな。 かなしい。

では。