恩師と呼べる方がどのくらいいますか?

学生時代の恩師が、過去にこんなことを言っていました。
もともとぼくは、政権交代には期待してたけど、1回目で簡単にうまく行くとは思ってなかったんです。必ず次の2回目(注:2012年12月に行なわれることになった総選挙) は、民主党が大敗すると思ってました。50年近く続いた堅固な体制をひっくり返して数年で、こびりついたさびが易々と落とせるわけがない。
 
でも、国民はそんなこと待っちゃくれないから、期待の反動の幻滅が来て、そこでわっと批判票が流れて、また自民に戻るのか他のフレームに移るのかはわからないけど、とにかく民主党政権は1期で終わる。その次の3回目の総選挙が、ほんとの大事な選挙でね。2大勢力がどっちも《与党をやって下野する経験》を持った。さぁ、そこでどんな腰すえた政権を国民が作るのか。
 
だから2009年8月の選挙直前、政権交代の予感でメディアの皆が浮かれているときから、ぼくは「勝負の選挙は、今回じゃないよ。3回目だよ」と言ってました。当時それを聞いた某テレビ局の中堅どころは、納得しかねる顔してましたけど。ちなみに今でも、ぼくのこの見方は変わってません。

 - 【SYNODOS】メディアから官邸へ ―― 決断の本当の理由と、今だから話せる官邸の第一印象/下村健一氏インタビュー【転身編】 http://synodos.jp/politics/2049
これは2012年11月の記事ですが、
1回目の選挙直後、2009年8月にも同様のことを仰っています。
政権交代を伝える昨夜のテレビの開票特番は、落選した自民党の大物達にスポットライトを当て、その沈痛な表情を次々と報じていた。それだけを眺めていると、幹部総崩れのようなイメージを持ってしまうが、実は結構、スポットライトの外側でしぶとく生き残った自民党有力者達もいる。ある番組出演者は、その事をこんな風に喩えていた。「大本営が生き残ってしまって、これで体質改革が出来るのだろうか……」(略)
 
権力の監視という役割はもちろん大切だが、「与党の欠点を追及する」という今までの定型にハメて、ただ機械的に批判の矛先を自民から民主に置き換えるだけにならぬよう、考えてみたほうが良さそうだ。
「やっぱり民主党には無理だった」という性急な結論は、その反動で、今まで以上に強固な自民一党支配体制の再生を招きかねない。(略)

建設的報道が提供する情報に基づいて有権者が判断できるようになれば、過剰な期待や失望にいちいちオセロゲームのように振り回されず、総選挙の度に冷静に政権党を選択できるマトモな民主主義社会が、日本にもついに形成されるかもしれないではないか。(甘いかな?)

- 政権が変わった。メディアも変わろう。 2009年8月31日 http://shimomuraken1.com/old/nakasoto/kenbo/090831.html
下村さんの予想通り、2回目は、反動で自民党が圧勝。 そしていよいよ注目の3回目、今 「総選挙の度に冷静に政権党を選択できるマトモな民主主義社会」 となっているだろうか。 残念ながら、その兆しすら感じられない。 どちらかといえば、「今まで以上に強固な自民一党支配体制の再生」 がされつつある。



アベノミクス? 消費増税先送り? 原発? 集団的自衛権?

これといった争点がない中、今回僕の中での明確な争点がある。 それは、今回の選挙結果が、将来の 「マトモな民主主義社会」 につながるかどうか。

僕が選挙権を得たのは2003年、初めての総選挙は、小泉さんが首相になったとき。 だから、僕が有権者になってからは、比較的明確な争点があり、政権交代が視野に入った選挙ばかりでした。 その影響を強く受けたためか、僕は、政権交代が定期的に行われる緊張感のある政治が、健全だと考えています。

でもよくよく考えてみると、僕らより上の人たちって、ずっと自民党だったのだよね。 だから、長期一党政権が当然で、それがよいと思っている人も多いかもね。



全然関係ない話だけど、1930年代ドイツの政治がなかなか興味深い。
野党を根絶やしにしたらどうなるか、とか。

当時のドイツ国民と、今の日本人、どちらかがどちらかよりも、非常に判断力に長けている、ということはないと思うのだよね、きっと。 同じ人間だし。

バランス感覚。

では。


参考: 下村健一さんについて
 - プロフィール | シモムラスイッチ【下村健一公式ウェブサイト】 http://shimomuraken1.com/profile
 - 下村健一 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/下村健一