以前に書いたこの記事について、もっと話を聞かせてほしい、という声もあり、もうちょっと考えてみました。
ミッキーによる地方の祭りのフランチャイズ化 - 愛知豊橋・長坂尚登のblog http://nagasakanaoto.blog.jp/140523.html
最も言いたいことは、素人の場にプロが入ってくるな。 はっきり言って、しらけるんです。

学生のとき、学園祭で企画を何回かしていました。 そして周りの企画で、最も嫌いだったのがミスコン。 いや、ほとんどのミスコンはいいのです。 手作りな感じでほのぼのとしていて。 けれども、一部のブランド大学のミスコンは、背景に大人の臭いがして、本当にイヤでした。 例えば、ミス慶応の副賞が外車のBMWだったときはドン引きしました。 「ミス〇〇」の称号は、今後女子アナやタレントを売りだして行きたい人・会社からは、とても魅力的で、その審査過程を含めて、学生主体ではなく、大人に操られているような印象を強く受けました。

それに準じて好きでなかったのが、単純に歌手やタレントを呼んできて、ステージで一曲歌って終わり、みたいなもの。 そこに全く企画性を感じなくて。 その大学のOBOGならまだいいのですが。 そういうのは、大学の外でやればいいじゃん、数少ないステージの枠を取るな、と。 企画性を感じない、という意味ではミスコンも同じ。

で、ここからが本題。 そうは言っても、ミスコンもタレントも人が集まるんです。 その後に、そのステージで企画する人たちの気持ちを考えたことあります? 毎日、一生懸命、練習していたダンスを、さあ披露するぞ、というときに、ステージから、サーっと人がいなくなって行く人たちの気持ちを。 これがまだ同じ学生の企画で、そっちの方がダンスがうまい、あるいはおもしろい企画で、魅力的ということならば、なにくそ!もっとダンスうまくなろう!もっとおもしろい企画考えよう!ともなりますが、圧倒的にレベルの違うプロの仕事なら、やる気なくしません?


昨年の豊橋まつりでの、ディズニーパレード、土砂降りの大雨でしたが、ものすごい人が来ていました。 そして30分ほどのディズニーが終わったら、サーっと人がいなくなりました。 そのあと、豊橋まつりのメインの一つである市民によるパレカ(パレード&カーニバル)も土砂降りの雨の中、スタートしました。 やってる人たちはどんな気持ちだったのでしょう。

祭りは誰のためか、考えました。 「市民のためのお祭り」など、耳障りのいい言葉もありますが、第一義に、祭りは参加者のためのもの、と僕は思います。 見に来る人は、二番手、三番手。 もし見に来る人が一番ならば、それは祭りではなく、ショー。

もし僕が参加者なら、毎回毎回、見に来る人がミッキー目当てで、自分たちの出番のころにはいなくなってしまうのなら、はっきり言ってやる気をなくします。 しらけます。 どうせミッキー目当てだし。 どうせ俺らミッキーには敵わないし。 しらけ始めたら、祭りをつくる参加者たちは、どんどん減ります。 もしかしたら、「私もミッキー見たいから、パレカには参加しない」という人も出てくるかもしれません。

祭りのときくらい自分が主役になりたい。 ミッキーの前座や脇役のために参加するのはまっぴらごめんです。 それが祭りってもんでしょう。


前回のブログで、”地域の祭りで大切なのは、独自性”  と書きました。 撤回します。

うちの町内の祭りなんて、たかだか2,30年前に始まり、歴史もなく、レプリカみたいな神輿を担いで、手筒花火も自分たちで作らず煙火会社に作ってもらい、「そんなの手筒花火じゃない」と古くからやってる地域から言われる、コピーみたいな祭りです。 外から見に来る人なんて皆無です。 けれども、僕は19のころから、ほぼ毎年欠かさず参加しています。 東京にいたときは祭りのために帰省して。 誰に言われるでもなく、自分が参加したいから参加して。 町内の祭りの何十倍も大きい、豊橋まつりのために帰省することは、ほとんどなかったのに。

コピーみたいな祭りだって、僕にとっては大切な祭りで、そこで年に一回、町内の人たちに顔を見せ、顔を合わせ、酒を飲み、僕が子どものときからじいさんだったじいさんに「おまえいくつになっただ」と毎年聞かれ、友だちのお母さんに「なおとくん、まだ結婚しないの」と言われ、この前生まれたばかりの子が、いつの間にか小学生になっているのを見るのが、楽しいのです。 そう考えると、祭りにとって大切なのは、独自性なんかよりも、参加したい、参加し続けたいものかどうか。


ミッキーが来る、ミッキーを呼ぶことがわるいとは思いません。 だって喜ぶ人めちゃめちゃいるし。 もしかしたら、こういう機会がないと、本物のミッキーに会えない子どもが地方にはまだまだたくさんいます。 だからと言って、豊橋まつりを荒らしに来させなくてもいいじゃないですか。 やつは単体でも十分集客できるんだから、何にもないときに来てもらえばいい。 ショー・ビジネスとして。

では。