140330
『マイルドヤンキー』というマーケティングの言葉を聞いて思ったこと、BRICsと同じ構図だ。 メーカーが消費を拡大するために、ターゲットをより階層の下へ、下へ、と拡大していく。 この構図が国内でも起こっているのかな、と。

『マイルドヤンキー』の前の時代に、同じように使われた言葉、『中流』。 一億総中流時代の言葉が表すよう、1970年代、国民の9割が自分のことを「中流」と答えていた。 今は、「日本人の9割がヤンキーになる」という見出しが踊る。 



マイルドヤンキーという言葉は耳触りがいい。 それに気づいたのは、先日、学生時代から僕のことを知っている先輩から、「今のお前、見栄消費をしないマイルドヤンキーって感じだよね」と言われたとき。 正直、いやな感じはしなかった。 むしろ、自分の中に肯定感があり、受け入れられる。 理由を考えてみた。

「ヤンキー」ってスクールカーストでは、上の存在。 僕はヤンキーではなかったし、なれなかったし、なりたいとも思わなかった。 けれども、全く憧れがなかったかと言えばうそになる。 もし僕が、「今のお前、ヤンキーだよね」と言われたら、「いやいやいや」と否定する。 そこには、ヤンキーと名乗るなんて、畏れ多いという気持ちもある。 でも、「マイルド」だったら、僕でも今後、「僕、マイルドヤンキーだから」と言っていいかなと、許されるように感じた。

きっと中流時代の人も、「上流というのは憚れるけど、中流だったら、言ってもいいかな」と、思ってた。



耳触りといえば、「発展途上国」という言葉。 元の英語は、developing country(発展中の国)、昔は後進国(backwards country:後ろ向きな国)という名称だった。 当事国からの反発、あるいは、当事国への配慮で、耳触りのよい言葉、発展途上国、に変わった。 当事国の代表者が自国を指して「うちは発展途上国です」と言っているかは知らないけど、たぶん言っている。

今はもっとかっこいい、新興国(rising country:昇っている国)や、BRICsという言葉もある。(BRICs:ブラジル、ロシア、インド、チャイナの頭文字をまとめた言葉) 特にBRICsは、言葉が出来た途端に、その国々が注目の対象(それは市場としても)になり、これまで先進国だけを相手にしていたメーカーが、BRICsの国々もターゲットと捉えるようになり、下へ裾野が拡大した。



僕の日本語の感覚では、(マイルド)ヤンキーは、中流よりも階層が下。 つまり、かつて「下流」と捉えられた人たち。 そういう意味では、発展途上国、新興国、そして、BRICsという言葉と同じように、確実に消費の裾野を拡大し、マイルドヤンキーを自認する人を増やし、それが「普通」であるとしようとしている力を感じる。 それは、現在増加している、かつて「下流」と呼ばれていた状態を、「それが普通」と捉えさせようとしているということなのだけど。

では!

<参考>
http://ja.wikipedia.org/wiki/一億総中流